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作者:一柳凪,ヤス
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-09-16(小学馆)
价格:¥615 原版
文库:Gagaga文库
丛书:リバース·ブラッド(1)
代购:lumagic.taobao.com
リバース·ブラッド1 小学館eBooks〈立ち読み版〉 リバース・ブラッド 1 一柳 凪 イラスト ヤス 目次 序章     in rain i monologue ii paramedicine obsession. iii mirror obsession.. iv surface obsession... v hydrokinetics 終章     in rain § 参考文献 § § あとがき §  分厚い膜のなかを走るみたいだ、と少女は思った。  大気を緩やかに覆う雨のなか傘も持たず、内心の苛立ちを紛らすように少女はひとり駆けていた。  はずむ息も気にせず、制服が、鞄が濡れるのにもかまわない。  そんなことより、タダ早く家に帰り着きたかった。  逢魔が刻というやつだろうか、天候のせいもあって既にあたりは昏く、人通りもない。  アスファルトのうえを硬い跫音が孤独に響く。ぱしゃぱしゃと薄い水音だけが儚く後を追った。  道の左右で、疎らな灯りがゆっくり後方へ流れてゆく。ボヤアッと曖昧に滲む光がやけに遠く感じられて、少女は、意識するともなく駆ける足を速めた。  なんだか息苦しくて、軀が重く感じる。こまかな雫が肌にまとわりついて邪魔だ。  学校でちょっとしたいざこざがあって、少女はいつになく気を荒立てていた。  早く家に帰って熱いシャワーでも浴びたい。そうすればいくらかスッキリするだろう。胸のなかの悩みも苛立ちもモヤモヤした気持ちも、全部ひっくるめていっそ綺麗に洗い流してしまいたい。  そんなことを考えながら走っていると、不意に、道端の茂みから物音がした。  気づかなければ良かったのかもしれない。  あるいは、気づいても無視を決めこんでいれば。  何でもないことだったはずだ。 「……?」  なのに少女は、持ち前の好奇心の命ずるまま足を止め、茂みの方へ向き直った。やっぱり、雨音に混じって何か聴こえる。  少女は茂みに眼を凝らした。暗くてよく見えない。  一歩。  踏みだした時点で、少女は既に囚われていたのかもしれない。  また一歩……恐るおそる、でも誘われるように、音のする方へ近づいていった。雨滴が頸すじに後ろ髪を張りつかせて気持ち悪い。  近づくにつれ、次第にハッキリと聴こえるようになる。生理的に厭な音だった。