勇者と勇者と勇者と勇者3
小学館eBooks〈立ち読み版〉
勇者と勇者と勇者と勇者 3
川岸殴魚
イラスト すまき俊悟
目次
1「受け止められないよ。その気持ち」
2「毎日、スーシー、スーシー、チャンネー、チャンネー、だからねぇ」
3「なんだーゴーレムか」
4「ゴーレム、ダルい! うるさい! 遺産大好き! おっぱい大好き!」
5「小太りの奥さん三人をゲットしそこないました」
6「ゴーレムを叩かないでください」
終章「じゃあな、馬鹿賢者、もう来るなよ」
あとがき
英雄ブレイズが魔王を打倒して、人類の文明は急速に発展した。
人口は急激に増加し、生産力も増加した。
生産力の増加はさらに人口を増加させる。
人類はこれまで体験したことのない繁栄を享受し、文明の発達は頂点に達した。
しかしある人は言う。
人類の頂点ははるか古代にあったと。
英雄ブレイズが倒した魔王は最初の魔王ではない。
魔王が現れ、英雄がそれを倒し、人類が栄える。人類はそれを繰り返してきたのだと。
ある人は言う。
魔王が復活する日がまた訪れるであろうと。
荒廃した街、怯える人々。
そして本当の恐怖に立ち向かうことができず、勇者を名乗っていた者たちは、自慢の脚力で我先にと逃げ去るであろう。こうして勇者は駆逐され、人類は次の英雄となる真の勇者を待ち望むことになるであろうと。
つまり──。
──大勇者〝あまり〟時代の終焉である。
海辺の塔の冒険からひと月弱。
駆け出し勇者であるルディ・シュミットは、毎晩眠る前にあの日のことを思い出す。
──あれはお互いの技と力、そして知力、すべてをぶつけあった死闘だった。
もしかしたら、エリたんサイドから見ると異論があるのかもしれないが、ルディにとってはルディの解釈こそ真理である。
いまでもあの戦いを思い出すと、血が沸きたつような感覚を覚えるのである。
あの戦いこそ自分が勇者として望んでいたことであった。
魂ごとすべてをぶつける死闘、そして勝利。
勇者が求め、目指すものは、名声や人気ではない。業界人とのコネや、ましてや異世界よりもたらされたSNS〝イセッター〟のフォロワーの数などではない。
自分の全力をぶつけることができる冒険とバトル、それこそが勇者の本分である。
ついに勇者としてのモチベーシ