封印少女と復讐者の運命式
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CONTENTS
00:暗イ夢
01:邂カイ逅コウスル封印少女
02:機都シティヨリ来キタル
03:崩壊スル静寂
04:廃都ノ雪
05:人形ノ痛覚
06:憎シミノ楽園
001:ソノ先ヘ
ダッシュエックス文庫DIGITAL
封印少女と復讐者の運命式リベリオン・コード
伊瀬ネキセ
暗 イ 夢
暗い。
寒い。
(冷たい)
闇だった。
誰のものかもわからない骸。ぬるりとした手触り。錆のにおい。
鳴り響く聞き覚えのない警報。心臓の鼓動に跳ね返るように、絶え間なく聞こえ続ける。
《警告》《リ……》《パラ》《……フ》《警コ……》
ここはどこだ。僕は誰だ。
見回す。
時折またたく閃光が、一瞬、闇を反転させてすべてを照らす。
転がる骸、骸、骸。かつて誰であったのかすらわからない、顔のない肉塊。
(これは僕の……)
お父さん? お母さん? 姉さん? 友達? 仲間?
わからない。もうわからない。
「誰だ……?」
振り返る。
強い光が闇を黒から白へと染め直し、たった一人、二本の足で立っている人影を周囲から切り取ってみせた。
見たこともない、綺麗な服、 綺麗な 顔
赤 い。 目。
なに よ りも あ か い 。 め。
それと、青と 白 の 髪。
「――――――――」
そいつが笑った。
ちくしょうめ。
みんなこいつに殺された。
僕もこいつに殺される。
許さない。
絶対に許すもんか。
邂カイ 逅コウ ス ル 封 印 少 女
目覚めが快適だったことは一度もない。
大抵が寝汗におぼれ、自分のうめき声に起こされる。
悪夢は目覚ましとしては中の下だ。良い夢は目覚ましにはならないから下の下だが。
《おはようございます皆さん。エデンが朝をお知らせします。本日も健やかに過ごせますよう……》
室内スピーカーから響いた機械的な挨拶をきっかけに、ノオトは濁った目を狭い室内に一周させると、備え付けの寝台シートから身を起こした。
底の浅い皿にも似た楕円形状の寝台だ。寝台の身幅は両肩より少し広いほどで、寝返りを打つどころか、姿勢を入れ替えるにも不自由する。だが、〈エデン〉の住人は寝台で寝返りなど打