后退 返回首页
作者:割内タリサ,鵜飼沙樹
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-07-25(overlap)
价格:¥690 原版
文库:overlap文库
丛书:異世界迷宮の最深部を目指そう(7)
代购:lumagic.taobao.com
異世界迷宮の最深部を目指そう 7 目次 1.心温まる楽しい楽しい船旅 2.パーティーの成長 3.軋み 4.休日の終わり イラスト/鵜飼沙樹 1.心温まる楽しい楽しい船旅  船の甲板にて、肺が一杯になるまで空気を吸い込んでいく。鼻腔をくすぐる海の匂いが爽やかだ。前髪をさらって吹き流れる潮風が心地よい。  空を見上げれば、どこまでも青色が広がっている。  その快晴の空の中央には、真っ白な太陽が放射線状に光のレースを広げて輝いている。さらに丸い日輪が空に大きく一つ――海に反射して小さく十余り、輝き乱れている。  水平線まで続く大海原は、空よりも少し薄い青色だ。水色よりは濃くて、青色よりは薄い……空色とは違う綺麗な海の色。その海のキャンバスの中には、まばらに濃い藍色も不規則に塗られている。おそらく、海の深さによって色が変化しているのだろう。自然界にしかない芸術を超えた色遣いだ。  銀色の魚が海面を跳ねる。  遠い空で白い鳥が羽ばたく。  静かな小波の音に重なって、海上の音楽が鳴り響く。  目を瞑って僕は、その極上の音楽をゆっくりと耳にする。  ああ、本当に安らかな音楽だ。  心の底から、そう思う。  思うが……しかし、僕の胸中は穏やかではない。  この快晴の空とは正反対の暗雲が、心の中に満ちている。 「ハァ……。ぁあ……」  思わず、溜め息とうめき声が漏れるほどだ。  不安になるような速度で心臓が脈打つ。  息苦しさと共に、口内炎が痛む。  心なしか肌が荒れてきたような気がする。  目のくまの濃さが深まり、疲れを隠せていない。 「胃が痛い……」  心の底からの一言を、僕は綺麗な青い空に向かって呟く。  そして、よろめきながら甲板にある木製の手すりにもたれかかる。ろくに睡眠がとれなかったせいで、身体がふらついていた。  もちろん、連合国から本土に向かう航海は順調だ。 『舞闘大会』にて優勝し、三十層の守護者ガーデイアンだったローウェンを見送り、魔石船『リヴィングレジェンド号』を入手して、追っ手を振り切り、海で遭難することもなく、真っ直ぐ西へ向かっている。  本当に順風満帆と言っていいだろう。  ただ、順当な航海とは対照的に、酷く僕は疲弊しきっている。  心底から疲れた。  いますぐ手すりを乗り越えて、入水したくなるくらい憂鬱だ。  ――なぜ、僕