異世界詐欺師のなんちゃって経営術2
異世界詐欺師のなんコンちゃサルってテイ経営術ング2
【電子特別版】
宮地拓海
角川スニーカー文庫
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本作品の内容は、底本発行時の取材・執筆内容に基づきます。
CONTENTS
序章『今日も閑古鳥』
01『食い逃げ犯と暴れ牛』
02『川漁ギルドのクマ人族』
03『虚ろな目の少女』
04『笑顔のために』
05『ヤシロの苛立ち』
06『牛飼いとの直接対決』
07『ボナコン一択』
08『新人ウェイトレス』
終章『そこそこの大盛況』
あとがき
異世界詐欺師のなんちゃって経営術2 電子特別短編
ご注文はコレですね? ~マグダは見習いウェイトレス~
陽だまり亭には、今日も今日とて客がいない。
「ヤシロさん、顔が怖いですよ。お茶でも飲んで一息ついてくださいね」
ジネットがいつもの笑顔で俺の前に湯吞みを置く。にこにこと、悩みのなさそうな顔だ。
一方のエステラは呆れ顔だ。まるで聞き分けのない子を見るような目で俺を見ている。
現在、食堂にいるのは俺を含めて三人だけだ。……ホント、客が来ない。
が、俺が不満を覚えているのはそんなことではない。
「なんで物が売れないんだよ? 納得がいかん」
俺は、行商ギルドといざこざがあった際にゴミ回収ギルドを作った。その日から俺は、ギルドに所属している人間になったのだ。だというのに物を売ることが出来ない。
「ゴミ回収ギルドが許可されているのは、ゴミを買い取り、陽だまり亭及びそれに付随する関連各所での有効利用であって、それをそのまま販売することは認められていない」
集めた食材をどこかに売ることは出来ない。それは行商ギルドの範疇だからだ。
「どうしても売りたい物があるなら領主に申請して『売買許可証』を発行してもらうといいよ。一回限りだけど品物を売買することが可能になる。ちなみに、使用後は取引相手のサインをもらってきちんと失効印をもらうこと。誤魔化して使い回すと罪になるからね」
領主の許可が取れない代物──つまりは取り立て屋ゴッフレードとの一件で手に入れた曰く付きの香辛料を売りたい時はどうすりゃいいんだって話なんだが。
「お前さぁ、『許可証ならいつでももらってきてあげる