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作者:海津ゆたか,やすも
类型:少年向 日文
出版:2016-07-25(小学馆)
价格:¥658 原版
文库:Gagaga文库

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ヒイラギエイク 小学館eBooks ヒイラギエイク 海津ゆたか イラスト やすも 目次 第1章 第2章 第3章 第4章 終章 あとがき  お元気ですか。  あなたはいま何歳ですか。  背はどのぐらい伸びたのかな、声も変わったかな。  きっとたくさん変わったよね。  だってもう十四歳じゃないものね。  でも笑った顔は変わらないでいてほしいな。  二人で見上げた天の川の輝きを覚えていますか。  あの夏は本当に楽しかったね。  私はあの夏のぜんぶが大好き。  この思い出は私の永遠の宝物です。  だから壊したくないし、けしたくない。  ぜんぶを守りたいから未来に進んでいきます。  私は大丈夫。きっと大丈夫。  怖くなんてありません。  でも一つだけ神様にお願いをしておきます。  どうか君にまた会えますように。 第1章  あまりの山の深さにあきれる。  このオンボロ車が山道を登り出してから三十分。車窓の向こう側は、夏の日差しを受ける緑の木ばかりだ。家は一軒も見えてこない。  助手席から眺める景色にはもう飽きた。しかし、ほかにやることがない。  車の窓からぼけーっと顔を突き出していると、ハンドルを握る保叔父さんが話しかけてきた。 「限界集落って聞いたことあるだろ」 「知らない」  素っ気なく答えてしまう。エアコンが故障した車内の熱気は、窓を全開にしても全く涼しくならない。口を開くのもおっくうだ。  僕は荻原出海、十四歳。東京の八王子市の中学二年生だ。夏休みを田舎で過ごすために長野県玉川村に向かっている。叔父さんが一人で暮らしている教員住宅に居候させてもらうのだ。  今日は七月二十八日、快晴。  長野県の最北端まで来れば涼しいと思っていたけど、当てが外れた。 「人口の半分以上が六十五歳以上の高齢者で、祭りとか水路の管理といった共同作業を維持できなくなっている集落のことを限界集落という」  叔父さんは額に汗を浮かべながら話す。その説明口調がいかにも教師らしい。 「玉川村は村全体が限界集落だ。人口約三百人の半分以上はお年寄りで、六十代でも若手と呼ばれてしまうようなところだ。中学生は九人しかいない。そのうち、お前と同じ二年生は四人」 「少ないね」 「昔は多かったんだよ。でも、高度経済成長期を境にどんどん人口が都市部に流