総理大臣のえる！ 全9巻
【合本版】
総理大臣のえる！
全9巻
あすか正太
角川スニーカー文庫
目次
総理大臣のえる！ 彼女がもってる核ボタン
総理大臣のえる！ 恋する国家権力
総理大臣のえる！ 乙女の怒りは最終兵器
総理大臣のえる！ 撃破！ 日本消滅計画
総理大臣のえる！ サジはなげられた！
総理大臣のえる！ 花嫁がいっぱい
総理大臣のえる！ 神様だよ、全員集合！
総理大臣のえる！ 愛の支配者
総理大臣のえる！ 歴史を変える大勝利
総理大臣のえる！
彼女がもってる核ボタン
あすか正太
角川スニーカー文庫
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目次
第１話 内閣支持率０％
第１．５話 総理の日記
第２話 炎の赤、鮮血の赤
第３話 終わらない夏休み
おまけ
８月１日
「誰かに狙われてる気がするんだ……」
大きなため息をついて、長谷川健太は膝にのせたショルダーバッグに顎をうずめた。
目の下に浮かんだ隈が痛々しい。眠れていないのだろう。
十四の身で徹夜は悲惨だ。両眼のまぶたは隙あらば磁石のようにくっつこうとするし、身体はだるくてだるくて倒れてしまいたいぐらいだ。でも、塾をさぼることはいけない気がして、健太は一人、自分の弱さと戦いながらバスに揺られている。
そんな昼下がりの都営バスはがらがらで、排気ガスと赤字を吐き出しながらのんきに走っている。車内にいるのは冴えない風体の運転手、赤ん坊を抱えた若い母親、そして最後部のベンチシートに左から、健太と弥生ほのか、白峰忍の計六人だ。
「どういうこと？」
隣に座っていたほのかが反応した。
小さな瞳がかわいらしい、楚々とした雰囲気の女の子だ。
実は彼女、先ほどから心配そうな顔をして健太を見ては、文庫本に視線を落とすという動作をくりかえしていた。
彼があまりにもやつれた顔をしていたので気になったのだけれど、とても眠たげにしている彼を起こすのも迷惑かも、と思い、結局何も言えずにいたのだ。
「なんかさ、何日か前から付けられてるみたいなんだよね」
健太は親指で後ろを示す。振り向くほのか。ゆるくウェーブのかかった髪がふわりと揺れた。
