ふるこんたくと! 全4巻
【合本版】
ふるこんたくと!
全4巻
あすか正太
角川スニーカー文庫
目 次
ふるこんたくと! ハートに一番近い場所
ふるこんたくと! 2 だから、ふたりにプロポーズ
ふるこんたくと! 3 想いを閉ざすアツい壁
ふるこんたくと! 4 胸さわぐ愛のオーラ
ふるこんたくと!
ハートに一番近い場所
あすか正太
角川スニーカー文庫
本作品の全部または一部を無断で複製、転載、配信、送信したり、ホームページ上に転載したりすることを禁止します。また、
本作品の内容は、底本発行時の取材・執筆内容に基づきます。
目次
序
一 潔癖すぎる乙女
二 自由すぎる校則
三 神秘すぎる感触
四 真剣すぎる鉄拳
五 不幸すぎる彼女
六 一途すぎる愛情
七 天然すぎる天才
終
あとがき
序
「まさに日本晴れ!」
空高く、布団代わりにしていた段ボールが舞い上がった。
ビルの屋上である。
少年は派手に飛び起きると、さわやかな青空を見上げ。
「おおお、抜けるような青空! なんといい天気だ! 太陽もあんなに高く! 高く……!」
もう昼だ。
そう気付いたとたん、みるみると少年の顔は青ざめていった。
「おおおおおおおおおおおおおおおお、オレとしたことが!! 完全に寝坊した!!」
走り出した少年のあとを、猫が追いかける。
「一路、待てよっ!」
猫が、喋っていた。
「久美恋どのと待ち合わせをしたのだ! 船が出る前に!!」
一路は助走をつけると、身長よりも高い金網をかけあがった。外へジャンプする。
「一路、待てって言ってんだろ!」
屋上の外とは、つまり空であるわけで。
「あ……」
4階なので10メートルは超えていた。その高さから一路は飛び降りたのだ。
「ったく、…………自分が寝たのがどこかぐらい、覚えておけよぉ」
「これしき! 爺っちゃんに受けた修行の成果!!」
一路は空中でありながら姿勢を変えた。前屈みになって、くるくると回転をする。
一路は、まるで体操選手のごとく、キレイな着地を決めたのだ。
「熱ちっ」
裸足に、炎天下のアスファルトは厳しかったのだが。
「それが修行の成果かぁ?」
ヒゲを揺らして、猫が笑う。
馬鹿にされたのが悔しかったのか、一路は軽く唇を尖らせて。
「