殺人探偵·天刀狼真(アマトウロウマ)
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目次
序章 視線の多い町
一章 NEETギャング
二章 見張る竜、怒る羊に笑う狼、間違ったのはタダの人
三章 デスドライブ・ダイブ
三・五章 狼への鎮魂歌
四章 瞳に映る紅と蒼
終章―前編 世界一危険な安息の地
終章―後編 親がいなくなれば子はパーリィタイム
ダッシュエックス文庫DIGITAL
殺人探偵・天アマ刀トウ狼ロウ真マ
神高槍矢
序章 視線の多い町
さて、問題です。
僕は何人いるでしょうか?
――正解は、543248人です。一週間後には3000人増える予定です。
どうも、初めまして。野坂威竜です。
白瑠璃市の市長をやってます。名前や外見から、男性に思えるかもしれませんが、れっきとした女性です。ほら、シャツの上から、わずかに胸の膨らみが見えるでしょう。
パットを入れているんじゃないかって? いえ。入れてないです。確認させてあげませんけどね。
白瑠璃市へようこそ。歓迎しますよ。引っ越しですか? 旅行ですか? お仕事?
へぇ、生き別れたお姉さんを捜しに来たんですか。……え? 殺しに来た? はは、物騒なジョークです。
白瑠璃市は、いいところですよ。駅周辺は、東京に匹敵するぐらい栄えています。町から少し離れると、農業地や工業地帯などもあって、働くところには困りません。大企業も注目しているので、地価は年々上昇傾向にあります。港には新鮮な魚がいっぱい。何より、僕がたくさんいます。この町に来たのなら、ぜひ、僕とお友達になることをお勧めします。
僕の優秀さを知りたかったら、質問をしてみてください。難しい計算に、調べ物。なぞなぞでもいいですよ?
美味しいスイーツショップですか? そうですねぇ。この先を真っ直ぐ行ったところにあるロイヤルディコというお店はいかがでしょうか? リサーチ済み?
それなら……あ、ちょっと、何をする気ですか? あてんしょん。強制終了は、お勧めしません。パソコンをシャットダウンする時は、左下の――。
☆
「気持ち悪い……」
家電量販店の店先。
銀髪の青年は、展示品のノートパソコンに軽蔑のまな