孤高の精霊術士 2 ―強運無双な闇王封印物語―
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目 次
序 章 その日常に潜む闇
第1章 初めてのお使い先は神国ランカ
第2章 元帥殿下、極刑に!?
第3章 元帥殿下、脱獄す!?
第4章 これぞ獅子奮迅の働き?
第5章 勇猛果敢にて慈悲深き光の戦神
最終章 光の精霊王、降臨す!?
ダッシュエックス文庫DIGITAL
孤高の精霊術士2
―強運無双な闇王封印物語―
華散里
序章 その日常に潜む闇
「お頭っ。こちらへどうぞ!!」
「…………へっ? あ、いや、その……俺は」
「そんなこと仰らずに、どうぞどうぞ!!」
薄暗くて狭い地下牢。
石畳でできたこの場所はじめじめとして、不衛生さを象徴するかのように、すえた臭いが充満していた。
鉄格子と石造りの壁で囲われた空間に薄汚れた男達が詰め込まれている。
ココにぶち込まれるまで、所謂外の世界では荒くれ者だったに違いないガタイのいい男達。
そんなむさ苦しい野郎達に取り囲まれた俺は、中でも際立って柄の悪そうな一人の男に、牢の中央に積み上げられている敷物へ座るようにと勧められていた。
しかも『お頭』なんて妙な呼び方をされながら……。
「な、なぁ。その、さ。お頭っていうの、どうにかならないの、かな?」
「何かご不満で!?」
「あっ、あ、い、いやいやいやいや。ご不満だなんてとんでもないっ。ただ、その……俺だけ敷物を使うっていうのは気が引けるって言うか、さ?」
きっと本人からすれば普通に問いかけているだけなのだろうけれど、いかんせん顔が厳つすぎる。小さな子供が見たならトラウマもののレベルだぞ。
むき出しの太い腕には戦歴を語る傷っていうかが沢山刻まれていて、視線が合っただけで恐怖に心臓が止まってしまいかねない。
「さ……流石はお頭だ!! 花冠祭だってのに恩赦も弾き飛ばすくれぇの大犯罪をやってのけるだけのことはありまさぁ!!」
「いや、だからそれは何かの間違い……」
「明日処刑されるってのに、この落ち着きようったらねぇぜ!!」
「いやいやいやいや。だからそれ洒落になってな……」
「わかってますって!! 殺される前に、神官の奴らをドーンと血祭りに上げるってこ