ラブコメ禁止ですの!2
小学館eBooks〈立ち読み版〉
ラブコメ禁止ですの! 2
一柳 凪
イラスト シロガネヒナ
目次
序章 妻たる者の条件ですの?
1.嫁度対決への道ですの!
2.両手に花のディスティニーランドですの!
3.生徒会長を選べですの!
4.初恋シンドロームですの!
5.仮面の者は危険ですの!
終章 ほんとの気持ちですの?
あとがき
「──つまり、『嫁度』が問題なのよ!」
恋愛実験の首謀者・早乙女芹が、いきなりそう宣言した。
おれ・久瀬時雄の両側には二人の女の子がいる。右手に蛍火桐香、左側には深山羽織。
ラブコメ禁止という校則が設けられていた、ここ芙蓉学園。
その地下室で、おれたちは秘密裏にラブコメを研究し実践する活動を行っている。名づけて恋愛実験部。
早乙女の実験台として選ばれたのが、おれと蛍火、それに漫画家志望の謎の女の子、音無しじまだった。
深山は恋愛実験に参加しているわけではないが、ここ数日、放課後になるとこの地下室にやってくる。恋愛実験の活動を通じて、おれは蛍火と憎からぬ仲になってきたのだが、ひょんな流れから深山がおれを許嫁にするとか言いだして……その結果、深山も地下室に入りびたるようになったのだ。
「何を勝手なことを言っているのだ。だいたい、許嫁と言ったところで久瀬にはその気がないのだろうが。妄想もたいがいにしておくべきだ」
深山の許嫁宣言を聞いた蛍火がそう言えば、
「そんなことありませんわ! 私のことを考えるあまり夜も眠れないと言ってましたもの! 結婚はすでに決定事項! あなたの方こそ、おとなしく身を引くがいいですの」
深山も負けず言い返す。
バヂバヂバヂッ!
睨みあう二人の間に、稲光が走る。
蛍火が龍だとするならば、深山は虎。獣の形を作った二つの雷光は、激しくぶつかり合いしのぎを削っている。
おれは、互いに一歩も退こうとしない蛍火と深山の間で板挟みになっていた。そんなおれを見かねてか、早乙女が二人をとりなすように、
「まあまあ落ち着いてよ。ここは問題の所在を明らかにするために、現在の状況を整理して考えてみましょ」
「そうだ、早乙女いいこと言ってくれた」
意外なところから差しのべられた助け船