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作者:樺薫,坂口安吾 , あめいすめる
类型:少年向 日文
出版:2016-06-17(小学馆)
价格:¥615 原版
文库:Gagaga文库

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藤井寺さんと平野くん 熱海のこと 小学館eBooks 藤井寺さんと平野くん 熱海のこと 樺 薫 イラスト あめいすめる 目次 序 章 第一章 第二章 第三章 第四章 第五章 第六章 第七章 終 章 あとがき  この作品は、坂口安吾のミステリ小説「投手ピツチヤー殺人事件」「不連続殺人事件」から着想を得たフィクションです。  実在の人物、団体等とは一切関係ありません。 序 章  このウェブサイトをはじめたときから、どうしても見ておかねばならぬ、と心に決めていた場所があった。  近鉄藤井寺球場。そう、私のハンドルネームの由来となった球場である。  一九二八年に開場され、一九五〇年に近鉄球団が設立されてからは、以降四十九年の長きにわたって──近鉄パールス・近鉄バファローズ・大阪近鉄バファローズと改名され、二〇〇五年にオリックスブルーウェーブと合併して消滅した球団の本拠地・準本拠地として数々の名勝負と、それに倍する凡戦を見守り続けた、あの球場である。  CSとネットが基本、現場は関東近辺の球場しか知らないSOHO系野球観戦者の私にとって、大阪まで行くとなると、これは一大事である。私にとって以上に、親にとって大事だ。  一泊二日、大阪まで。旅行と呼ぶのもおこがましいおでかけなのに、親は一人で新幹線に乗れるのか、一人でホテルにチェックインできるのか、菊名の横浜線乗り換えは大丈夫かと、私以上におろおろし、深川不動尊の交通安全のお守りをさえ買ってきた。  無論、親の心配はありがたい。しかし、私だってもう子供ではないのだ。今にもついてくると言い出しそうな親のうろたえぶりに、私は苦笑を禁じ得なかった。  近鉄藤井寺球場は、二〇〇五年に閉鎖されただけでなく、二〇〇六年に取り壊しも終わっている。だから、大阪府藤井寺市春日丘三─一─一に行ったところで、何がある、というわけでもない。  私は、それを承知で、それでも見ておきたかった。  何かを、というよりは、何かの不在を。  夏の終わり、だった。  天気はぐずついていた。雲を、風を追い越すひかり号の窓、ほとんど水平に流れていく雨粒を、私は物珍しく、そして不安な気持ちを抱えながら見つめていた。  東海地方を襲った豪雨は、しかし関ヶ原に差し掛かるころには、新幹線には振り切られている。  石田三成靡下の猛将・島左近が、関ヶ原決