特命生徒会 特別に命を奪うことを許可された生徒会
特命生徒会
特別に命を奪うことを許可された生徒会
日日日
角川スニーカー文庫
本作品の全部または一部を無断で複製、転載、配信、送信したり、ホームページ上に転載したりすることを禁止します。また、
本作品の内容は、底本発行時の取材・執筆内容に基づきます。
CONTENTS
序章
第一章
第二章
第三章
間章
第四章
第五章
第六章
終章
「自己紹介の必要性を感じませんので単刀直入に、まずは用件だけを申し上げましょう──【特命生徒会】なる謎の組織は存在しません」
機械じみた無表情で、美しい少女が断言する。
光の差さぬ深海の水めいた黒髪は長く麗しく癖のひとつもなく、いつだって重力の方向を親切に教えてくれているみたいに、真っ直ぐ垂れ下がっている。
黒髪の乙女だなんて、前時代的な感じがするのに……。野暮ったくも重たくも感じずに──むしろ華やかに見えるのは、あまりにも髪質が艶やかで、光を天冠めいて幾重にも輝かせているからだ。
その煌めきを助長するように、彼岸花を模した紅玉の髪飾りをつけ、夕陽めいた深紅の瞳が妖しげに揺らめいている。
吸血鬼もかくやという、とても高校生には思えぬ、非人間的な娟容であった。
漆黒と、深紅。高級感のある、あるいは葬式めいた陰鬱な配色の彼女が身にまとう制服は、これもあつらえたように同じ色彩を基調としている。
黒い布地に、赤いネクタイ。
瞬きもせずに、一切の感情がともなわない平淡な声音で。
生徒会長──正確に表現すれば、【生徒会連盟】総長・極楽院錺美は宣言する。
「なのでご安心ください、などと私がわざわざこの場を借りて公式発表せねばならない状況に正直うんざりいたします」
けばけばしい名前に相応しい傲岸不遜な態度で、錺美はただ正面を見据えている。
この全校集会の様子は全国津々浦々、【生徒会連盟】の息がかかった小学校・中学校・高等学校──幼稚園や大学に、果てはニュースサイトなどのメディアを通して一般大衆にも幅広く喧伝されている。
強国の元首が演説をする光景そのものに、錺美が立つ舞台の正面では有象無象の人々がごった返して拝聴している。後方では弔客めいた陰鬱な雰囲気のSPた