現実主義勇者の王国再建記 1
目次
序章
第一章 資金繰り
第二章 まず××よりはじめよ
第三章 放送番組を作ろう
幕間話1 セリィナと死霊騒動
第四章 パルナムの休日
幕間話2 エクセル・ウォルター公の溜息
第五章 伝説の翁
第六章 救援
終章
番外編 ある冒険者たちの物語
「一也……人はなぜ、家族を作ると思う?」
秋の深まったある日、じいちゃんは俺にそんなことを聞いてきた。
ちょうどばあちゃんの初七日が終わった頃のことだ。庭先でじいちゃんと二人、ボンヤリと空を見ていたときのことだった。質問の意味がわからず、なにも言えないでいると、じいちゃんはなにかを悟ったような顔で言った。
「一人で死なないためじゃ。婆さんを看取って、つくづくそう思った。儂らは息子夫婦を早くに亡くしたが、お前がいてくれた。じゃからこそ、儂らの人生は満ち足りておった。繫がりは、儂らがいなくなっても続く。生き物にとって、これほど誇らしいこともないじゃろう」
「じいちゃん……」
「じゃからこそ、儂は言っておきたい。一也。家族を作りなさい。そして、その家族をなにがあっても守り抜きなさい。昔から、お前はものわかりが良かった。……いや、物事を割り切って考えるところがある、というべきか」
「………」
「じゃがのう、家族のことだけは割り切るな。一度摑んだ手を、絶対に放すな。自分の人生を掛けて、なにがあっても守り通せ。そうすれば、必ず最期には『良い人生だった』と思えるじゃろう。婆さんや……儂のようにな」
「……まるで遺言だね」
俺は茶化した感じで肩をすくめたのだけど、じいちゃんは大まじめに頷いた。
「儂も歳じゃ。いずれ一人になるであろう、孫に送る最後の言葉じゃよ」
そのときの俺には、なにも返すことができなかった。
そしてつい先日、俺の大学合格を見届けるようにして、じいちゃんも、ばあちゃんのところへ行ってしまった。一人きりになった家で、俺は呟いた。
「わかってるよ。じいちゃんの遺言は、忘れてないから」
家族を持ち、その家族をなにがあっても守り抜く。
その約束を胸に、俺は一人で、新たな生活をはじめる―――はずだった。
◇ ◇ ◇
「おお勇者よ! よくぞ我が呼びかけに応えてくれた」
目の前に現れた中肉中背の中年