タマラセ 全6巻
【合本版】
タマラセ
全6巻
六塚 光
角川スニーカー文庫
目次
タマラセ 彼女はキュートな撲殺魔
タマラセ 探偵はドリルで突つかれる
タマラセ サイボーグは果実を愛する
タマラセ 鉄仮面はメロンパンを夢見る
タマラセ ボンクラたちのララバイ
タマラセ 幼馴染はドラゴンを喚ぶ
タマラセ
彼女はキュートな撲殺魔
六塚 光
角川スニーカー文庫
本作品の全部または一部を無断で複製、転載、配信、送信したり、ホームページ上に転載したりすることを禁止します。また、
本作品の内容は、底本発行時の取材・執筆内容に基づきます。
CONTENTS
一
二
三
四
五
終
あとがき
解説
桃太郎バーサス吸血鬼
昔々、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんは山へ柴刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
おばあさんが川で洗濯をしていると、上流からどんぶらこっこすっこっこ、と大きな桃のようなものが流れてくるではありませんか。これは持って帰っておじいさんと二人で食べよう、とおばあさんは桃を家に持って帰りました。
家に戻ってきたおじいさんは、桃を見て驚きました。桃の中から殺気が発せられているのを敏感に感じ取ったのです。血相を変えると、
「ばあさん、そこを退けィ!」
鉈を振り上げ、容赦なく桃に振り下ろしました。
桃が真っ二つになるかと思われたその寸前、ひとりでに桃は二つに割れ、中からにゅっと二本の腕が出てきました。手は鉈を真剣白刃取りで受け止めました。
桃の中から出てきたのは成人男性でした。普通と違うのは一点、口元から長い牙が生えていることでした。
そう、桃の中にいたのは吸血鬼だったのです。
「フフフ……勘がいいじゃねえかジジィ! 敬意を表して全力で叩き殺してやる!」
叫んで吸血鬼はおじいさんに襲いかかりました。しかしおじいさんはにやりと笑い返すと、伸びてきた吸血鬼の手をかわし、逆に肋骨へ鉈の背を叩き込みます。不死身の肉体を誇る吸血鬼とはいえ、たまらずもんどりうってひっくり返りました。あまりのことに吸血鬼は目を白黒させ、恐怖の目でおじいさんを見やりました。
おじいさんは実は、引退したヴァンパイアハンターだったのでした。
引退しているとはいえ往年の腕前は健在で、お