后退 返回首页
作者:湖山真,美弥月いつか
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-05-20(一迅社)
价格:¥689 原版
文库:一迅社文库

代购:lumagic.taobao.com
偽装の聖剣と竜装の戦姫 挿画:美弥月いつか 口絵彩色協力:八坂ミナト ゲストSD挿絵:アシオ デザイン:島田碧(KOMEWORKS) 序章 黒き痣の継承  ――キィン!  突如響いてきた鋭い金属音に、サイオンは枯れたクヌギの根元に伸ばした手を止めた。  顔を上げて額にかかる黒髪を払い、鳶色の目をこらして周囲を見回す。  まだ夜も明けきっていない森の中は暗く、さきほどの音を発生させた人物の人影らしきものは視認できない。 「なんだ、お仲間か? キノコはやんねえぞ」  サイオンは暢気に呟くと、クヌギの根元に生えた椎茸をむしり取って大きな籠に放り込む。かたわらに置いた背負い籠の中ではさまざまな種類のキノコが大量に積み重なっている。  幼い頃に両親と死別したサイオンは、十二歳にして年季の入った雇われ労働者だ。  住み込みで働いている農場の刈り入れ作業が一段落ついたので、今日は早起きしてキノコ狩りに繰り出してきた。劣悪な環境を生き抜いてきたサイオンにとって、この時期は一年に一度、大好物のキノコをたらふく食べられる至福の季節だ。  気を取り直して、またせっせと椎茸の採取に精を出していたときだった。 「《水皇》よ、貫け!」 「《森羅》よ、防げ!」  裂帛の声に続いて、バシュッ、と何かを射出する音と、木の枝が折れる音が続く。  さらには地面を削るような足音と激しい息づかいなども聞こえてきて、ようやく誰かが争っているのだと気がついた。しかも、さきほどよりも近い。 「山賊か? やっべ、早く逃げないと」  争い事と聞いて真っ先に思いつくのは戦争と山賊だ。大勢の物音が聞こえないのでサイオン後者だと考え、立ち上がって籠を背負い直した。  大急ぎで村へと続く獣道を戻っていく。と、背後から強烈な炸裂音が鳴り響いた。 「うわっ!」  思わず怯んで立ち止まった瞬間、強風とともに横手を何かが勢いよくよぎっていった。  それはひときわ太いクヌギの木に激突し、枯れ葉の積もる地面に崩れおちる。  騎士の装いをした少年だった。  年は十代の半ばくらいだろうか。少し長めの金髪が血で染まり、額や頬にへばりついている。身なりがいいから南十字教団の聖騎士かもしれない。  このガリシア大陸では人間と数十の種族からなる魔族がもう千年以上もの