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作者:今慈ムジナ,しづ
类型:少年向 日文
出版:2016-05-23(小学馆)
价格:¥637 原版
文库:Gagaga文库

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ふあゆ 小学館eBooks ふあゆ 今慈ムジナ イラスト しづ 目次 観測されない前日譚 第一章 ※※※ 観測されない閑話 第二章 ※あ※ 第三章 ふ※※ 第四章 ※※ゆ 終 章 ふあゆ 観測される後日談 あとがき  夜、夜だと思う、夜である。  今、自分たちの視界には闇が広がっていた。  観測する側される側、相互作用が働いて、お互いに影響を与えている。  自分たちはこうして夜を観測している。つまり自分たちは影響を与える存在へ、ついに昇華したのだ。 「まっちゃうー」  自分たちは存在証明の産声を上げた。  電柱がある、街灯がある、郵便ポストがある、交通標識がある、小川がある、雪がちょっぴりある、柵がある、一軒家がたくさんある、ビルが少しだけある。  でも人がいない。  ここは街だが、田舎と呼ばれる辺鄙な場所でもある。  だから夜でも人がいない、人がいなければ自分たちは自分を形作れない。  探しに行こう、人を。  等間隔に配置された釣り針状の街灯に沿うように、アスファルト舗装の歩道を進む。  道端へわずかに積もる泥混じりの雪は、冬と呼ばれる季節を自分たちへ認識させたが、体感では冬を感じられない。寒さの概念が伝わらないほど、自分たちは未熟だった。  散策を続けていけば、ひときわ明るい光に出くわした。  そこはコンビニエンスストアと呼ばれる家で、二十四時間営業することがあり、観測者の知識では、よく人が集まる場所らしい。  これは好都合だと、誘導灯に導かれる飛行機のように店へ近づいた。 「まっちゃう」  店の扉が開かない、なぜか。  確か、これは自動扉と呼ばれる扉。この扉が開く条件は様々で、人感センサー、重量センサー、タッチ式──誤作動を防ぐため、今は人感センサーが主流。  つまり自分たちは人と感知されてない、あるいは重量がないという結論に至る。  店に入れず立ち往生していると、若い女が店内から現れて、自動扉を開けてくれた。 「まっちゃう、まっちゃう」  感謝を述べるが、彼女は自分たちに気づかず、素通りしていった。  とても困った。自分たちという境界線は、いまだ自分たちでしかなく、自分たちが自分になり、理想を言えば私になることが望ましいのだが、このままでは叶いそうにない。  観測者に従い、自分たちの不確定性