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作者:春日みかげ,メロントマリ
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-04-22(集英社)
价格:¥799 原版
文库:DashX文库
丛书:ユリシーズ ジャンヌ·ダルクと錬金の騎士(3)
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ユリシーズ ジャンヌ·ダルクと錬金の騎士 III この本は縦書きでレイアウトされています。  CONTENTS Estoire del Saint Graal Ⅰ ジャルジョー Queste del Saint Graal Ⅱ ボージャンシー Lancelot propre Ⅲ パテー Estoire de Merlin Ⅳ ランス ダッシュエックス文庫DIGITAL ユリシーズ ジャンヌ・ダルクと錬金の騎士 Ⅲ 春日みかげ  大洪水以前の世界――「キエンギ」の世界では、神々の寿命は長かった。彼らは数万年もの時間を生きた。その悠久の生涯の長さこそが、彼らのわずかな記憶を残している人間たちが、彼らを「神」――人間を越えた存在として認識させているのだろう。今のヨーロッパではほとんどの者が五十年も生きられない人間たちの命も、かつてはもっと長かった。「聖書」に登場するアダムとその系譜の人間たちは、神々とは比べるべくもない短命とはいえ、それでもなお百年を優に生きられた。次第に、気候の変動や環境の変化とともに、人間の命は短くなっていった――それは、人間という種族が求めた「進化」の速度との等価交換だったのだろうか。  人間たちは、過去に「失われた知識」があることを、「喪失した楽園」があることを、本能的に感じ取っていた。故に、古代異教の知識である錬金術アルシミーに永遠の命を求め、賢者の石ピエール・フイロゾフアルを探し、エリクシルの生成に没頭した。  彼ら人間のうち、ユリスの力を求める者たちの多くは、自らをただの異能力者ではなく、人間を越えた超越的な存在へと引き上げようと欲した。すなわち、神々の領域へ――海の彼方と地下と天上とに広がる、見えない異界へと開く門を、求め続けた。ユリスとしての高い資質は、ある意味において、異界を――神々の世界を感じ取る才能でもあったのだ。  円卓の騎士団を率いたかのアルチュール王も、そうだった。ヨーロッパを席巻した騎士道物語ロマンスにおいて、聖杯グラールを直視した騎士シユヴアリエは死ぬことになる、と信じられている。しかしそれはこの百年も生きられぬ儚い、そして醜く汚れた現世から、騎士の魂が異界へと――彼方にある理想郷アヴァロンへと引き上げられる「救済」を意味する