ハレの日は学校を休みたい!
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ハレの日は学校を休みたい!
陸 凡鳥
イラスト 切符
目次
一章 頭痛がするので休みたい。
二章 芝居に行くので休みたい。
三章 雨が降ったら休みたい。
四章 自分のベッドで休みたい。
五章 一日だけでも休みたい。
終 晴れの日は学校を休みたい。
あとがき 『俺? ら○まの再放送見るから帰るけど?』伝説
一章 頭痛がするので休みたい。
視界に映るのはパンツだ。色は黒。セクスィー。
もっと詳しく観察するため、体を動かそうとするのだが。……無念。できない。
僕は床に転がされている。手足に二重三重の結束バンドを巻かれた、完全拘束状態で。
頭上からは声が降ってくる。
「これより、裁判を始めます。……被告は一年C組、響川晴。容疑は、当学園に対するテロ行為」
縛られた僕の前には、赤絨毯が敷かれている。その先、数段高い位置には、玉座が備えつけられてあった。
御座から僕を見下ろしているのは、毅然とした麗人だ。
肩まで伸ばした色の薄い金髪。アクセントとして三つ編みを頭頂で横巻きにしている。着ている制服は、ほとんど原形をとどめていない。ホワイトを基調としたオーダーメイドの派手な上着。胴を締めつけるコルセットに、両サイドとバックが膨らんだスカート。ニーソも白。手にした乗馬の鞭を弄ぶ姿には、クールビューティーという言葉が似つかわしい。
彼女こそ、僕が通う翠峰巒学園の二年生にして最高権力者、霧山タチアナ・ブルメコシュア会長、そのひとである。なんでも学園創始者の孫だとかで、学内では校長よりも発言力があるらしい。
会長は、実務口調で僕に告げる。
「では、洗いざらい吐いてもらいましょう。あなたに黙秘権はありません。あなたが話す内容は、すべて証拠として扱われます。心しておくように」
「あのう。できればこれをほどいてからにしてもらえるとありがたいんですけど……」
「却下」
抗議は、あっさり退けられた。こちらの要求なんて聞いてくれないだろうとは、ここまでの成り行きで想像ついてたけど。
ことの始まりは、放課後にまでさかのぼる。
長かった授業も終わり、ようやく家に帰れると思っていた矢先のこと。
突然、僕は数人の生徒に取り囲まれ、有無を言わせず拉致された。
そのまま連れてこられたのが、この