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作者:ろくごまるに
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-05-20(富士见书房)
价格:¥562 原版
文库:富士见Fantasia文库
丛书:封仙娘娘追宝録·奮闘編(3)
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封仙娘娘追宝録·奮闘編(3) 名誉を越えた闘い 封仙娘娘追宝録・奮闘編③ 名誉を越えた闘い ろくごまるに 富士見ファンタジア文庫 本作品の内容は、底本発行時の取材・執筆内容に基づきます。  目次 名誉を越えた闘い その男の名は 揺るぎなき誓い 災いを呼ぶ剣士 傷だらけのたかかい 最後の審判  あとがき 名誉を越えた闘い     一  鍛冶屋の跡取りは言った。 「殷雷とやら。先鋒、中堅と続けて勝ち抜くとは、さすがに準決勝まで残るだけの事はある。だが、俺は今までの二人とはわけが違うからな!」  なにがどう違うんでございましょうかな? と、殷雷は考えたが口には出さない。  聞けば答えが返るだろう。そう、わざわざ口に出して、懇切丁寧に違いを教えてくれるだろうが、そんなものには興味がなかった。  中肉中背の体に長い髪、袖付きの黒い外套を羽織った青年、殷雷は聞こえるように大きく溜め息をついた。 「へいへい。なんでもいいからとっとと始めようじゃないの」  別に相手を挑発する気持ちなんか、これっぽっちもなかったが、鍛冶屋の跡取りは愚弄されたと感じた。 「ほおう。えらい自信じゃないか」  間違っても殷雷には、試合を盛り上げようなどというつもりはなかった。しかし、思惑に反し、鍛冶屋の跡取りとの会話に観衆は一層の興奮を見せた。  客席を見上げ、まあ、よくこれだけの客が入ったものだと殷雷は今更ながら感心した。  闘技場自体も結構な広さがある。丸や四角ではなく、八角形の大きな闘技場だ。  闘技場とはいえ、見ている限りには大人の腰程の分厚さのある、八角形の大きな板に過ぎない。板には、水面に垂らした墨汁のような奇妙な模様があった。  その闘技場を囲むように、すり鉢状の観客席が組まれている。観客席は満員で、観客数はざっと五千人と殷雷は見た。 「殷雷!」  闘技場のすぐ横に立つ、一人の娘が殷雷の名を叫んだ。淡い桜色をした唇に、細い顎、澄んだ黒色の瞳の上には、少し太めの眉毛がのっかっていた。  十五、六の年頃の娘らしく、小さな耳飾りを着け、年頃の娘らしからぬ、袖の大きな道服を着ていた。  道服。仙人や道士が羽織る、袖の大きな服だ。似合っていないわけではないが、若い娘の道士姿は珍しかった。