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作者:ろくごまるに
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-05-20(富士见书房)
价格:¥518 原版
文库:富士见Fantasia文库
丛书:封仙娘娘追宝録·奮闘編(2)
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封仙娘娘追宝録·奮闘編(2) 切れる女に手を出すな 封仙娘娘追宝録・奮闘編② 切れる女に手を出すな ろくごまるに 富士見ファンタジア文庫 本作品の内容は、底本発行時の取材・執筆内容に基づきます。  目次 切れる女に手を出すな ごつい男のゆううつ 心迷わす蜂の音 殷雷の最期!! 切れる女とおとぎばなし  あとがき 切れる女に手を出すな     一 「ねえ、ふくろうの作り方、知ってる?」  そう言って、娘はススキ野原から一本のススキを引き抜いた。  夕闇迫る、ススキ野原の一本道には、道服を着た娘と、棍を持つ長髪の青年の影しか見て取れなかった。  袖の大きい道服を着た娘、和穂は、ススキの穂で自分の頰をくすぐり感触を楽しんだ。 「宿屋のオバさんに、教えてもらったんだけども、ススキを上手く細工したら……」  だが、青年は歩みを止め、凍り付いたように、遠くを見つめるだけだった。 「どうしたの? 殷雷」  和穂は、ススキの穂で、殷雷と呼んだ青年の鼻の頭をくすぐる。途端、弾けるように青年は絶叫した。 「奴が来る! 嫌だ! 勘弁してくれ。あいつは厄介すぎる!」  尻尾を踏まれた猫でも、ここまでは慌てなかっただろう。  殷雷は右手に持った、銀色に輝く棍を地面に落とし、両手で長い黒髪を搔きむしった。  袖付きの外套に包まれた肩が、荒い息に合わせて大きく上下に揺れている。 「ちょっと、ちょっと、いきなりどうしたのよ殷雷!」  だが、殷雷は自分の額に手を当て、ブツブツと独り言を繰り返し、目は虚ろだった。  いつもの武人を思わせる、猛禽類のような眼光は消えてなくなっていた。  これは、ちょっと普通ではないと、和穂は考えた。  殷雷がここまで慌てふためく宝貝が、近寄っているのだろうか。  そう考えると、和穂の少しばかり太い眉毛の間にも皺が寄った。  宝貝。仙人が造りし神秘の道具を、宝貝と呼んだ。仙術の精華を結集して造られた宝貝は、時として恐ろしいまでの破壊力を持つ。 「ねえ、殷雷。そんなに凄い宝貝が近づいてるの!」  荒い息を吐き、殷雷はやっと口を開いた。 「べ、別に凄くはない。程度はたかが、知れている」 「え? だったら、そんなに慌てなくても」 「これが慌てず