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作者:ろくごまるに
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-05-20(富士见书房)
价格:¥562 原版
文库:富士见Fantasia文库
丛书:封仙娘娘追宝録·奮闘編(1)
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封仙娘娘追宝録·奮闘編(1) くちづけよりも熱い拳 封仙娘娘追宝録・奮闘編① くちづけよりも熱い拳 ろくごまるに 富士見ファンタジア文庫 本作品の内容は、底本発行時の取材・執筆内容に基づきます。  目次 バラの酔っぱらい くちづけよりも熱い拳 意地を断ち切る犬の門 大地に蠢く花の王 バラの酔っぱらい、ふたたび  あとがき バラの酔っぱらい     一 「宝貝だ宝貝だ、絶対に宝貝の仕業に違いねぇ! 不自然だ、あまりにも不自然すぎる。あぁ、もうふざけるな!  ぬえい。髪を引っ張ってんじゃねえ! そのスルメをどけろ、漬物も引っ込めろ。  糖漬けを肴に酒を飲むほど、俺はまだ人生に煮詰まっちゃおらん」  のどかな春の日射しの下、八十六人の酔っぱらいに、揉みくちゃにされながら、棍を握りしめた青年、殷雷は叫んでいた。  老若男女の酔っぱらい、若い方は二十歳ぐらいから、結構な歳の老人もいる。  さながら正月間近の魚市場か、厳冬の日溜まりの中で、もつれあう猫たち、通称猫玉といった感じだ。  殷雷は相棒に向けて声を張りあげた。 「おい、和穂! お前の馬鹿師匠は、どんな宝貝を造ったっていうんだ。  なんの宝貝が、こんな、すっとこどっこいな状況を巻きおこしていやがるんだ! っておい、和穂、どこにいる! はぐれてしまったか?」  とうの和穂の姿は、酔っぱらいの団体の中に完全に埋もれていた。 「殷雷! どこにいるの?」  声を出すのがやっとの和穂だった。  だが、彼女の涼やかな声では、酔っぱらいのざわめきを突き破る事が出来ない。  彼女は必死になって、殷雷、すなわち旅の同行者を捜した。たいして大柄の男ではないので、人ごみの中、簡単には見つかりそうにない。  殷雷は懐が狭く、目がチカチカするような奇妙な黒色の、袖付き外套を羽織っているのだが、それらしい姿は、見あたらない。  押されながら、苦労して体勢を変え、もう一度、見回す。  長い髪を適当に括った、殷雷の頭だけでも見つからないかと、見渡すが、やはり視界には入らない。  殷雷がいつも、肌身離さず持っている、銀色の棍も見えなければ、鷹だか鷲だかを思わせる鋭い顔も、もちろん見えない。  同じように殷雷もまた、見失った和穂の姿を捜してい