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作者:ろくごまるに
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-05-20(富士见书房)
价格:¥734 原版
文库:富士见Fantasia文库
丛书:封仙娘娘追宝録(11)
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封仙娘娘追宝録 11 天を決する大団円(下) 封仙娘娘追宝録 11 天を決する大団円(下) ろくごまるに 富士見ファンタジア文庫 本作品の内容は、底本発行時の取材・執筆内容に基づきます。  目次 第三章 『蒼縞瑪瑙の世界で』 第四章 『龍華へと続く道』 終章 『帰ってきた男』  あとがき 第三章 『蒼縞瑪瑙の世界で』     一  虎は男を憐れに思った。  蔑み、見下すのではなく純粋に憐れだと思った。  水から引き上げられた気高き魚、空から落とされた誉れ高き鳥、本来居るべき場所ではない地面に縛りつけられ、のたうち回る姿を男に見た。  虎は思う。  一度とはいえ、許されない過ちは存在する。  それでも男の過ちはあまりに小さい。  さっさと諦め、魂を殺してしまえば全ては楽になっただろうに。  男にはそれが出来ない。取り返しのつかない、過ちに男は苦しみ続けている。  その苦しみは高潔な誇り、不屈の意志の裏返しだ。  この男にならば出来るだろう。  確信を覚えつつ、虎は口を開いた。 *  恵潤は眉をひそめた。  たぶん、それは美しいと言っても良かったのだろう。人間の感覚、仙人の感覚、どちらから見ても白銀に輝くそれは美の範疇に入るもののはずだ。  だが恵潤が本能的に感じたのは、美なんて代物ではなく純粋な嫌悪だった。嫌悪を向けるべき相手ではない者に感じる嫌悪感が、余計に彼女をいらつかせる。  爆煙は既に消え、殷雷の姿は現れていた。  彼の姿を見て、声を出す者は一人も居なかった。静嵐でさえ、ことの成り行きを見定めようと固唾を吞んでいる。  外の寒さを防ぐ為、締めきられた部屋の中なのに、殷雷の白銀の髪は風に煽られたように揺らいでいた。それも、どこまでもゆったりとした、まとわりつくような風だ。  普段の黒髪ではなく白銀の髪、髪だけでなく彼の全身もまた白銀に彩られていた。だが色を除けば普段の殷雷とほとんど変わっていなかった。  袖付き外套の下に着けている、武道の練習着を思わせる身軽な服装もいつものままだった。ただ、その全身と同じように色が抜け落ち白銀に輝いている。  この建物は本来、村の集会所だった。緊急時の倉庫として使えるように、ひろびろとした造りになっている。