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作者:ろくごまるに
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-05-20(富士见书房)
价格:¥604 原版
文库:富士见Fantasia文库
丛书:封仙娘娘追宝録(1)
代购:lumagic.taobao.com
封仙娘娘追宝録 天を騒がす落とし物 封仙娘娘追宝録 天を騒がす落とし物 ろくごまるに 富士見ファンタジア文庫 本作品の内容は、底本発行時の取材・執筆内容に基づきます。  目次 序章 『龍をおさめる』 第一章 『欠陥宝貝・殷雷刀』 第二章 『戦術級重機動宝貝・大崑崙』 終章  あとがき 序章 『龍をおさめる』     一  四海獄の声は、孫の健康を心配する、老人の声だった。 「どうか、どうか、どうか怪我にだけは、お気をつけくださいませ」  娘は、照れているのか、ちょっとくすぐったそうな顔をして、呆れた声をあげる。 「本当に、四海獄ったら心配症なんだから」 「しかし、私のような物がお供を言いつかるとは、まさに過ぎたる大役。万が一の事があったらと考えると、いてもたってもいられません」 「大丈夫よ。作戦にぬかりはない。……でも心配してくれて、ありがとう」 「何という、暖かいお言葉。この四海獄、全身全霊をもって、お供致します」  娘は腰から、小さな黒ひょうたんをぶら下げていた。  水筒のようだが、そうではなかった。  紫の紐で娘の帯にくくりつけられているひょうたんは、そんじょそこらの物とは、わけが違う。  この、ひょうたんこそが、心配症の四海獄である。  尋常ではないひょうたんを持ち、娘は高い高い山の山頂に、一人で立っていた。  空はどこまでも青く、広かった。  太陽は天に輝き、その光は、命あるもの全てを優しく包んだ。  娘の眼下に広がる、緑の山々は、絹のような霧の中から、とがった頂きをのぞかせていた。  目をこらすまでもなく、谷には水晶のような水の流れが見えた。  この水は、遥か彼方にある西海に流れるまでに、濁ることはなかった。  耳を澄ますまでもなく、この山々に住む生き物たちの、息吹を感じることができた。  どんな春よりも暖かく、どんな秋よりも爽やかな空気。  うつらうつらと、ひがな一日、居眠りでもしていたいような世界。  どこにでもありそうで、どこにも無い場所だった。  数多くの人間が夢に見て、たった一握りの人間だけがたどりつけた聖域。  ここは仙界である。  清浄な空気と、芳醇な土の香りを感じながら、娘は深呼吸していた。