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作者:ろくごまるに
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-05-20(富士见书房)
价格:¥562 原版
文库:富士见Fantasia文库
丛书:封仙娘娘追宝録(3)
代购:lumagic.taobao.com
封仙娘娘追宝録 3 泥を操るいくじなし 封仙娘娘追宝録 3 泥を操るいくじなし ろくごまるに 富士見ファンタジア文庫 本作品の内容は、底本発行時の取材・執筆内容に基づきます。  目次 序章 『宝貝を狙う女』 第一章 『泥との戦い』 第二章 『和穂の拳』 終章  あとがき 序章 『宝貝を狙う女』     一  女は夕日を背に受け、大地を駆けていた。  たとえ疾走する豹でも、彼女に追いつくのは不可能だ。  地面を駆ける全ての獣より、彼女は速く走っていた。  天空の果てから獲物を狙う鷹でも、彼女の動きは捉えられない。  女の名は夜主という。  尋常ならざる速度で、夜主は大地を駆けていた。絶対に人の脚では繰り出せない動きで夜主は走っていた。  彼女は口だけで呼吸をしていた。風に押しつけられて、鼻からは息を吸えない。  用心深い獣が水をすするように、わずかに開いた口許から空気を飲み込んでいた。  鼓膜はただ、ゴウゴウと風を切る音を伝えるのみ。  風の圧力を受けながらも、夜主の目は真っ直ぐに正面を見据えた。  少しでも風の抵抗を抑える為に、彼女は顔に細い布を幾重にも巻いていた。  緩く巻かれた布の隙間から、彼女のほっそりとした鼻と、恐ろしく鋭い眼光がのぞいている。  布の端と夜主の黒く長い髪は、混じり合って風になびいていた。  決して彼女は楽に走っているのではない。  全身がバラバラになりそうな衝撃を、鍛えぬいた、しなやかな肉体で辛うじて受け止めているのだ。  布の下で、夜主は笑った。  凶暴で乗り手の体を痛めつけるが、その代わり、滅法脚の速い暴れ馬を乗りこなしているような充実感と、それだけの速度で走っても果ての見えない大地の壮大さに、笑みがこぼれたのだ。  彼女が履いている靴は、通常の革靴とは違う。  名前は俊地鞜、宝貝の革靴だ。 *  夜主の心に言葉が触れた。 『夜主様。少し休憩なされたほうが』 『お前の指図なんか、受けないよ。まだ走れる。宝貝の在り処はこっちでいいのかい?』 『はい。このまま、進めば』  夜主に話しかけたのも宝貝であった。  彼女の指に光る、何の変哲もない指輪。だがこの指輪も俊地鞜と同じく、仙人の手によって