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作者:ろくごまるに
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-05-20(富士见书房)
价格:¥605 原版
文库:富士见Fantasia文库
丛书:封仙娘娘追宝録(2)
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封仙娘娘追宝録 2 嵐を招く道士たち 封仙娘娘追宝録 2 嵐を招く道士たち ろくごまるに 富士見ファンタジア文庫 本作品の内容は、底本発行時の取材・執筆内容に基づきます。  目次 序章 『雨の主』 第一章 『二人の道士』 第二章 『少しだけ仙界』 第三章 『道士の決闘』 終章  あとがき 序章 『雨の主』     一  和穂は嵐の中を、駆けていた。  雨が顔を打ち、目を開けているのが辛かったが、まさか目をつぶって走るわけにもいかなかった。  腰にまで届きそうな草が生える草原は、風を受けて海原のようにうねっていた。  嵐の中、辺りは暗く、和穂は前を走っている殷雷の背中と、彼の黒く長い髪を確認するのがやっとだ。  心臓が高鳴り、肺が破裂しそうになるが、そんな事は言ってられなかった。  殷雷がちらりと、後ろを振り返り、鷹や鷲を思わせる、猛禽類のような目で和穂の姿を見た。 「和穂、遅れるな!」 「判っている!」  和穂は必死になって息を絞り声を出した。  遠くで雷が鳴った。  標的は近い、和穂は自分を励ました。  嵐が一段と強くなっていく。それは標的に近づいている証拠だ。  この嵐は宝貝によって巻き起こされているはずだった。  ほんのしばらく前までは、今からは考えられないような快晴だったのだ。  それが、どんな夕立よりも素早く、天気は変わっていった。  殷雷は面白そうに叫んだ。 「さすがは雨師だ。せいぜい悪あがきするんだな!」  雨乞い専門の道士を『雨師』と呼ぶ。和穂と殷雷は、雨師を追跡していた。  何故なら、その雨師は宝貝の所持者だからである。  この嵐は雨師が巻き起こしたのだ。 *  その鋭い目付きと、男にしては長い髪を除けば、普通にたたずんでいる限り、殷雷は平凡な青年に見えたであろう。  だが、一度動き出せば、その中肉中背の姿からは信じられない力が引き出される。  草原を疾走する殷雷の足は、力強く大地を蹴っていた。  戦いだけを目的に練り上げられた、戦士の肉体だ。  殷雷の体を覆う、袖付きの黒く長い外套と相まって、草原を駆ける姿は、獲物を追い詰めていく黒豹を思わせた。  左手には彼の武器である、細い棍が握られ