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作者:ろくごまるに
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-05-20(富士见书房)
价格:¥1 原版
文库:富士见Fantasia文库
丛书:封仙娘娘追宝録(6)
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封仙娘娘追宝録 6 憎みきれない好敵手 封仙娘娘追宝録 6 憎みきれない好敵手 ろくごまるに 富士見ファンタジア文庫 本作品の内容は、底本発行時の取材・執筆内容に基づきます。  目次 序章 『とても、とても大きな罠』 第一章 『二つの再会』 第二章 『歪む宝貝』 第三章 『恵潤刀。そして』 終章  あとがき 序章 『とても、とても大きな罠』  剛始は、自分の顎を撫でた。  あまり、毛深い方ではなかったが、ここ一週間ばかり髭を剃っていないので、かなり不精髭が伸びていた。  寝台から立ち上がり、剛始は鉄の柵に向かう。柵の向こうには一人の見張りがいた。  剛始と同じぐらいの、三十前の男だ。  みるからに、忠実な使用人づらした見張りに、剛始は言った。 「やあ。髭を剃りたいから、剃刀を貸してくれないか? 判るね? 剃刀がどんなものかは知っているね?」  見張りと剛始の共通点は年齢ぐらいで、その人相を見れば、送ってきた人生の違いは明らかだった。  剛始の顔には凶があった。  己の人生に不運が付きまとう、凶相ではない。  他人を不運に巻き込み、自分も同じような修羅場に落ちる運命を背負った顔だ。  問題は、本人にとっては平穏よりも修羅場の方に安息を感じる、その性格だった。  彼の運命とは、全て、彼の性格が巻き起こした事件の連続でしかない。  鉄柵の前に立ち、自分を見つめる剛始の顔に、見張りはゾクリと、悪寒と不快感を感じた。  訳の判らぬ不快感ならば、気味の悪さで片づけられただろう。  だが、この視線には見覚えがあった。  自分が、この視線を使うのはどんな時だろうと、考えつつ見張りは答えた。 「ふざけるな。どこの世界に、囚人に刃物を渡す見張りがいる」  つまらぬ答えだ。もう少し気の利いた口はきけないのかと、軽蔑にも似た溜め息が剛始の口から洩れた。  凶がその人相にあっても、凶暴さは剛始から滲み出てはいなかった。それどころか剛始の視線には優しさがあると気がつき、見張りはさらに混乱した。  軽蔑と優しさが混じった瞳。  有り得なさそうだが、見覚えのある表情だと見張りは考えた。  自分の視線をにらみかえす見張りに、剛始は優しく罵倒を浴びせた。 「ほほう