后退 返回首页
作者:ろくごまるに
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-05-20(富士见书房)
价格:¥605 原版
文库:富士见Fantasia文库
丛书:封仙娘娘追宝録(9)
代购:lumagic.taobao.com
封仙娘娘追宝録 9 刃を砕く復讐者(下) 封仙娘娘追宝録 9 刃を砕く復讐者(下) ろくごまるに 富士見ファンタジア文庫 本作品の内容は、底本発行時の取材・執筆内容に基づきます。  目次 『破片に映るもの』 終章 『かけらの記憶』  あとがき 『破片に映るもの』  破壊された。  全てが砕けていく。全てが終わり行く。  全ての可能性は今ここに断たれた。  砕ける視界に無限の影が踊る。  鏡の割れる音がした。それが己の砕ける音だった。  崩壊する喉が叫ぶ。 「和穂!!」  一つの影が、きらめきながら崩れゆく破片に映り、無数の影となる。  影は地面に倒れる和穂の姿だった。 終章 『かけらの記憶』     一  今までに怒り狂う人間を和穂は、どれほど見てきただろうか。  和穂は「怒り」について充分理解しているつもりだった。  和穂とて、今までに腹のたつこともあった。  だが、彼女の怒りは長く続かない。それは一瞬閃くものであって、松明のようにえんえんと燃えつづけるような感情ではなかった。  怒りに身を焦がす者たちの心を和穂は本当には理解していなかったのだ。  今、彼女は初めて怒りの持つもう一つの側面を知った。  怒りはなんと優しいのか。  怒りは苦しみや絶望を紛らわしてくれる。  怒りは苦しみや絶望を追い払ってはくれないが、少なくとも和らげてはくれるのだ。  寝台に横たわる和穂の目に、黒く煤けた天井が見えた。  瞼にまとわりつく、瞳の腫れぼったさは眠りに落ちる前に泣いていた証しだろう。  どこか近くで心臓の鼓動を思わせるような、機織りの規則的な音がしていた。  和穂の記憶は混乱し、曖昧になっていた。  確実に覚えている事といえば、洞窟の中での殷雷の言葉ぐらいだった。  殷雷はあの洞窟の中で確かに言った。 『俺の体はもう長くはもたない』  そんな大事な話をどうして今まで私に黙っていたのか。それが怒りと涙の理由だと思ったが、実際はそうではなかった。  殷雷を失う恐怖を、怒りで必死になって紛らわそうとしていただけだったのだ。  そうとは判っていても再び怒りがこみ上げてくる。  怒りの熱だけが、悲しみの冷たさを和らげてくれるのか