后退 返回首页
作者:坂東太郎,紅緒
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-04-25(overlap)
价格:¥680 原版
文库:overlap文库
丛书:10年ごしの引きニートを辞めて外出したら(1)
代购:lumagic.taobao.com
10年ごしの引きニートを辞めて外出したら 1 自宅ごと異世界に転移してた〈上〉 目次 序章 第1章 ユージは引きニートからニートに進化した 第2章 ユージはニートだけど日本ではお金持ちらしい 第3章 ユージはニートから勇敢なニートに進化した 第4章 ユージは勇敢なニートからリア充に進化した 終章  庭に一本だけ桜が植えられた二階建て一軒家。  一週間前からこの家に一人だけの住人となった男が目を覚ます。 「ふう……ついにこの日が来たか……」  北条雄二、25歳。10年間、家の敷地から出なかった立派な引きニートだ。  そして一週間前に両親を交通事故で亡くした男でもあった。 「服は……ジーパンにパーカーでいいか。近所のスーパーに行くだけだし。髪は……寝グセは直しておかないとな。清潔感は大事だしね、うん」  両親の死をきっかけに、ユージは引きニートを辞めることを決意したのだ。  服を着替え、準備を済ませて鏡に自分の姿を映すユージ。もさい。  意を決してユージは玄関に向かい、扉に手をかける。ユージの手は動かない。 「いいか、俺。たぶんこれが最後のチャンスだ。外に出るんだ。生きるんだ。俺はできる、俺はできる、俺はできる……」  震えながら独り言を呟くユージ。危ない男である。手はピクリとも動かない。  ユージの頭に『明日から本気出す』そんな言葉が浮かんだ時。  ウォンッ!  扉ごしに聞こえた鳴き声に誘われ、ユージはあっけなく扉を開く。  ユージ一人では開けられなかった扉を動かしたその声。  北条家の愛犬、コタローである。ちなみにメスである。  玄関に立ちつくすユージの手を舐め、しかたないなあ、ついてきなさい、と言わんばかりに外に脚を向けるコタロー。男前である。メスだけど。 「そっか……俺は一人じゃなかったな。おまえがいたんだな、コタロー!」  愛犬コタローに抱きついて大騒ぎするユージ、25歳無職。危ない男である。  気づけばユージは玄関から出ていた。  コタローをひとしきり撫でまわし、じゃれつき、立ち上がったユージ。  顔をあげて門の先、敷地の外を見る。  首を傾げるユージ。  目を閉じ、頭を振る。  ゆっくり目を開けてふたたび敷地の外を見るユージ。  景色は変わらない。  森であった。  敷地の外は、森であった。