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作者:榊一郎,赤井てら
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-04-29(Hobby Japan)
价格:¥568 原版
文库:HJ文库
丛书:蒼鋼の冒涜者(4)
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蒼鋼の冒涜者4 目次 第一章 魔手 第二章 『天野行成』 第三章 闇を渡る女 第四章 『アマノユキナリ』 第一章 魔手  アンジェラ・ジンデルという娘は、常に何かに餓えていた。  有力貴族の娘として生まれ、容姿にも才覚にも優れていた為、彼女は常に人の上に立つ者として幼い頃より振る舞ってきた。そしてそれを周囲も容認――いや積極的に推奨してきた。  アンジェラの母は女の身でありながら、愚鈍な兄や弟を押し退けてジンデル家の家督を継いだ女傑であり……婿としてジンデル家に入ってきた夫ですらも、何処か見下す様な振る舞いにでる事が多かった。またアンジェラの父もその事に異を唱える様子は無く、伴侶というよりまるで召使いの様にアンジェラの母に従っていた。男尊女卑が基本である貴族社会において、それは異様な事であったが……アンジェラの母はそれを可能とするだけの傑物であったという事なのだろう。  そんな両親の元で育てられたアンジェラは、当然の様に男に負けぬ才女たれと教育され、それに応えて実績を残した。  ハリス真教会の宣教騎士団に入団したのも、元々は経歴に箔を付ける為である。  知恵のみならず武力でも――ありとあらゆる面で男を凌駕している事を示さねばならない。それ故にアンジェラは子供の頃から武術を一通り教わってきたし、宣教騎士団に入って辺境の蛮族共や地神、亜神、異獣、といった化け物と戦う事にも、臆する事は無かった。  だが……その一方でアンジェラの中には常にある種の『渇き』が在った。  何かが足りない。満たされない。  それが何か分からないので、尚更に焦燥感が募る。  恐らくそれはきっと――分かってしまえば簡単な事なのだろうと思う。胸の奥底から沸き上がる衝動の様な、単純で、しかしそれ故に強く、消えずに残るもの。  だが今のままではきっと手に入らない。それは分かる。分かっている。  だからアンジェラは自分の中の渇望を忘れようとするかの様に、ハリス真教会の務めに励んだ。教典を暗記してその教えの素晴らしさを周囲に説いて回った。彼女の熱心な信徒振りに周囲はただただ感嘆した。  やがてアンジェラは愚かな男共を従えて、瞬く間に宣教騎士団の副団長という立場にまで達する。ジンデル家という名門の出であったればこそだが――勿論、二十歳の若さでその地