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作者:三上康明,純珪一
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-04-15(小学馆)
价格:¥637 原版
文库:Gagaga文库
丛书:クラウン·フリント(3)
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クラウン·フリント3 七の強者(ナイト·オブ·セブン) 小学館eBooks〈立ち読み版〉 クラウン・フリント3 七の強者ナイト・オブ・セブン 三上康明 イラスト 純 珪一 目次 序章 再会の街角レイニイ・タウン 第1章 勃発 第2章 先輩と、後輩と 第3章 交錯する事象 第4章 「赤と黒」 終章 七の強者ナイト・オブ・セブン  雨音というものは、一度気にしはじめると止まらない。ずっと耳の奥底でサーという音が響く。そのくせすこし時間が経つと、その存在など忘れてしまう。  これに似た感覚を、松尾芭蕉が「おくのほそ道」で句に詠んでいる。あの有名な、  閑さや岩にしみ入蟬の声  という句だ。蟬時雨はうるさいものなのに、聞いているとその音はやがて耳から離れ、得も言われぬ「閑さ」に包まれることがある。それを「岩にしみ入」と詠んだ。  僕の名前は雨野晶。名前に「雨」の字が入っているから、というわけでもないけど、雨が好きだ。雨が降ると町が静かになるから。けれども、僕だって否定はしない。雨ってやつは基本的にもの悲しい。 「吉良先輩……?」  ピンクの傘をさした堤先輩の漏らした一言は、とても小さなものだった。僕の耳になんとか届く程度。雨の街角。ふわふわのトップスを着て、腿のラインがはっきり出ているスカートにブーツ。僕の通う高校、護稜高校の中央幹事長、堤葉友先輩。ふだん見せないような驚き──いや、戸惑いを見せていた。いつもの眠そうな目ではなく……いつもの、人を和ませるあの笑顔もなくて。  堤先輩の正面、つまり僕と先輩の間に立っている男は立ち止まり、先輩のほうを向いていた。傘もささず濡れたまま。サマーコートを羽織り、コットンのパンツにラバーソールのブーツ。銀色の髪は短く、端整な顔立ちは日本人ではないようにも見える。僕の知っている限り「ツクヨミ」と呼ばれていたその男は、「吉良先輩」と呼ばれてその場に立ち止まった。 「…………」  ツクヨミがなにか、言葉をこぼした。けれど僕には聞こえなかった。  彼は歩いていく。堤先輩へと向かって歩いていく。先輩は立ちつくしたままだ。僕の姿だって目に入っているのに、ツクヨミだけを凝視している。 「あ、あのっ」  ツクヨミが正面、一メートルほどになったところで堤先輩が言葉を発する。ツクヨミは、足を