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作者:るーすぼーい,白身魚
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-03-25(集英社)
价格:¥648 原版
文库:DashX文库
丛书:白蝶記(2)
代购:lumagic.taobao.com
白蝶記 2 ―どうやって獄を破り、どうすれば君が笑うのか― 白蝶記 ―どうやって獄を破り、どうすれば君が笑うのか― この本は縦書きでレイアウトされています。 ダッシュエックス文庫DIGITAL 白蝶記 2 ―どうやって獄を破り、どうすれば君が笑うのか― るーすぼーい CONTENTS 兄の決意 一章――二人の逃亡者 幕間――陽咲1 二章――旅の道連れ 幕間――陽咲2 三章――追う者、追われる者 幕間――陽咲3 四章――友達 幕間――陽咲4  輸液ボトルを点滴スタンドから取り外しながら、看護師の遠山和美が話しかけてきた。 「すっかりよくなったね、樹くん。つらそうだった咳も治まったみたいだし、顔色もばっちり。もうすぐ退院できるからね」  遠山の声はいつも個室に明るく響く。ベッドに横たわる樹は、朝から続けていた重苦しい考え事をいったん打ち切った。遠山と何か話そうと、うつむいていた顔を上げる。  よく知らない人と目を合わせて話すのはまだ怖かった。樹の視線は泳いだ。遠山の後ろの、広々としたガラス窓は閉め切られていた。総合病院の五階から望める教団の外の世界。まず細い川があり、対岸から先は雪をまとった家屋やビルがひしめいている。〝懲罰小屋〟で高熱を出した樹は、人口百五十万人の川幌市に連れて来られていた。正午を回った市内の上空を、切れ目のない雲が蓋している。 「ありがとうございます、毎日、よくしてくださって……」  二呼吸分ほど間をあけて、やっとそれだけ言えた。それでも、口ごもらずにしゃべることができたので、樹はちょっと誇らしくなった。いつまでも旭の足を引っ張っていてはいけない。 「樹くんがここに来たのは正月だから、三週間くらいかな。よくがんばったね。やっとお友達に会えるね」  倦怠感と消毒液の匂いが立ち込める病院のなか、遠山は樹に優しく接してくれていた。年齢は二十代半ばか。スリムな体形で、白衣がよく似合っている。激務だろうに、笑顔を絶やさない姿勢が素敵だった。肺炎を患い、呼吸器までつけて苦しんだ樹に、遠山はずっと声をかけてくれていた。樹は遠山にもっと感謝の意を示したかった。だが、なかなか日記や小説のなかのようには表現できない。 「旭くんと、陽咲ちゃんだっけ?」  また浮かない顔をしていたせいか、遠山がベッド脇で微笑んでいる。 「きっと、樹くんのこ