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作者:棺悠介,佃煮のりお
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-03-19(一迅社)
价格:¥594 原版
文库:一迅社文库

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怠惰でニートな魔王の世話をするだけの混沌な仕事 挿画:佃煮のりお デザイン:百足屋ユウコ+松田マサヨシ      (ムシカゴグラフィクス) 序章  異世界リルガンド。  広大な海と肥沃な大地、豊富な自然に彩られた世界には、人間をはじめ妖精や精霊、エルフやドワーフなど多くの種族が共存し、独自の文化を形成し生活を営んでいた。  種族間での領土争いなどで局地的に小競り合いなどは起きていたものの、多くの犠牲を生む戦乱は絶えて久しく、世界は概ね平和であった。  だが、その平和は突然訪れた災厄によって終わりを迎える。  自らを『魔王』と名乗る者と、それに率いられし『魔族』と『魔物』の軍勢による大規模侵攻によって世界の大国が次々と陥落、世界のほとんどが魔王の手に堕ちた。  人類の歴史が終焉を迎える。世界がそんな絶望に屈しようとしたその時、一人の若者が現れる。後に勇者と呼ばれるその若者は、類まれなる才覚と勇敢な仲間たちと共に魔王軍に挑みこれを次々と撃破。さらに勇者は精霊や天使、竜の試練を乗り越えその加護を得て、三日に及ぶ死闘の末、ついに魔王を討伐、これによって世界全土を巻き込んだ人と魔の戦いは終結した。  勇者に敗れた魔王の末路はいかなるものだったのか。  聖剣で首を刎ねられ完全に消滅した。異空間に封じられ永き眠りについた。悪しき力が浄化され、本来の姿である神へと戻った。いや、実は生き延びて最果ての地で虎視眈々と復活の準備を進めている。  魔王を討った勇者本人が多くを語らなかったため、噂ばかりがいくつも生まれては消えていった。だが世界から魔族の姿が消え、平和を取り戻した人々にとってそれは些末なことであった。  勇者と魔王の決戦からおよそ百五十年。  苛烈を極めたあの戦いを知る者は既になく、魔王の存在もまた伝説となり果てていた。  そして時を同じくして現代日本。時刻は早朝五時を回った頃。  篝野蓮司は蛇口から流れる水を両手ですくっては顔に打ち付ける。塗りたくられた石鹸を落としながら、同時に顔に張り付いた眠気もこそぎ落としていく。  蓮司はタオルで顔を拭き、鏡の中の己を見やる。  生活環境が大きく変わったせいで、ここ数日間は明らかに疲れた顔をしていたが、ようやく疲労の色も薄れてきた。ただでさえ人相が悪いのに、悲壮感まで浮かんでいたのでは堪らない。  ふっ