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作者:十文字青
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2016-03-25(overlap)
价格:¥702 原版
文库:overlap文库
丛书:灰と幻想のグリムガル(8)
代购:lumagic.taobao.com
灰と幻想のグリムガル level.8 そして僕らは明日を待つ イラスト/白井鋭利  その通り路はひたすら暗くて、曲がりくねっている。ところどころ、これはもう行き止まりなんじゃないかと疑われるくらい狭くなっていたりもするから、ランタンの明かりは一寸先までしか照らしてくれない。ときおり手でふれる左右の岩肌も、足の裏に伝わる感触も、ひどく硬くてごつごつしている。  進めば進むほど希望の火は弱まるばかりで、そっと吐息を吹きかけただけで簡単に消えてしまいそうだ。このまま慎重に一歩一歩、足を前に進めつづけたとしても、果たして報われるのか。この選択は正しかったのか。大いなる過ちだったんじゃないのか。  ここに入りこんだ当初は暑いほどだったのに、もうずいぶん前から空気が冷たい。水気はなくて乾燥しているが、なぜか沼地にいるような匂いがする。 「おい、パルピロ……」 「何だよ、ランタロウノスケ」 「おまえな。オレの立派な名前に変なの付け加えるんじゃねーよ。やっちまうぞこら」 「おれの名前を勝手に改変するのやめてくれたら、考えてやってもいいけど」 「ピャルピョロリンの分際で、オレ様固有の権利を侵害するんじゃねえ。――つーかよ、マジで大丈夫なのか、これ……?」 「大丈夫だよ」と即答して、下唇を軽く嚙む。  断言できるのか。確信はあるのか。  ない。  そんなもの、あるわけがない。  大丈夫かどうかなんて、わからない。わかるものか。  この通り路はダルングガルとグリムガルとを結んでいる。根拠は? ある。ウンジョー氏の証言だ。  ウンジョー氏は旧ナナンカ王国領と旧イシュマル王国領の境目あたりで霧深い場所に迷いこみ、ある洞窟を通り抜けてダルングガルに辿りついてしまった。彼は元義勇兵で、ハルヒロたちにとっては大先輩にあたる。そんな人物がわざわざ虚言を弄したとは思えない。彼は信用できる男だ。  噓をついたわけじゃないとしても、記憶違いがあるかもしれない。ウンジョー氏が真実を語っていたとしても、問題の洞窟とこの通り路が紛れもなく同じものだという保証はどこにある?  ここって本当に通り路なのか?  もし、違ったら、――いや、そもそも、どうやって違うと判断する?  行く手が塞がっていて進めなくなったら、間違いだったと認めるしかない。  そうだ。行けるところまで行くしかない。