リア充になれない俺は革命家の同志になりました1
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口絵・本文イラスト／有坂あこ
デザイン／ムシカゴグラフィクス
序章
『黄金の三日間』というものを知っているだろうか？
学校の新学期最初の三日間のことだ。
この三日間は教育学において、生徒の特徴を見極めクラスの運営方針を決める重要な七十二時間として重要視されているという。この間はみんな先生の言うこと聞くからね。
もっと踏み込んで言えば、『どの生徒がクラス内で権力を持ちうるかを見極め、いかにその生徒を掌握するか』を担任教師が決める期間だ。権力を持つ生徒の反抗さえ阻止すれば、クラスは担任教師とその権力者により安定統治される。
なんか、教師がそんなこと考えてるのはどーなの？ って気もするが、しくじれば下手すりゃ学級崩壊が待っているのだし、背に腹は替えられないのだろう。
つまり、わずか三日間で『どの生徒が上でどの生徒が下か』が決まる。
学校内での生徒の格差社会。いわゆる『スクールカースト』というやつが生まれるのだ。
乱暴に細かく分ければ、上のほうから……
一軍、イケメンやギャルなどのリア充。
二軍、体育会系。
三軍、文化系。
四軍、オタク。
五軍（最下層民）、ぼっちやいじめられっ子。
そんな感じか？ 基本的に一度確立されたこの階級社会は覆らない。
ちなみに市民権や人権を持つのは三軍以上の生徒。
しかもその階級は教室外でも意味を持つ。
上位階級の生徒は他クラスの上位階級の生徒と会話する権利があるし、下位の階級の生徒は他クラスの下位の人間としか会話できない。
さらに、一番下の最下層民は、他クラスどころか同じクラスの奴とも話す機会がない。
そんな階級社会がわずか三日間で決まる。しかもタチの悪いことに、学生の本分であるはずの学力はこの階級分けにさほど影響を与えない。
どんなに頭が悪くても一軍の生徒は一軍だし、どんなに頭が良くても五軍の生徒は五軍のまま。上位カーストの人間はテストで赤点を取っても「うっわ補習とかマジありえねえー」「お前馬鹿だなー」と、楽しい楽しい会話のネタになる。
逆に成績の悪い下層カーストの生徒が頑張って勉強して成績を上げても上位カーストに上がることはない。下手すりゃ『ガリ勉』のレッテルを貼られるだけ。
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