マルクスちゃん入門
この本は縦書きでレイアウトされています。
目 次
【1】従魔サーヴァントの名は、カール・マルクス
【2】『魔法使い』と『人間』の疎外論
【3】人はそれをフェティシズムと呼ぶ
【4】教育現場にはびこる魔法論
【5】魔法使いは倫理を知らない
【6】魔法使いの名は春川果映
【7】カール・マルクスの実存
ダッシュエックス文庫DIGITAL
マルクスちゃん入門
おかゆまさき
規模で言うなら数万枚、
「き、来た……っ!!」
一斉に崩壊きたすステンドグラスにも似た爆音、きらびやかな波動が俺を打つ!
「来た来た来た……、マジで来たぁ!」
エンドレスの雷鳴、足裏まで震わせるような残響、真っ只中で俺は叫ぶ。
「よぉしッ! やればできるもんだな俺ぇッ!!」
召喚の儀式って、ホント神経使うわぁ……!
「過去と未来を貫く太流より、召喚の命に応じて参上いたしました。我が名はフローレンス・ナイチンゲール。愛と献身がモットーであります」
固定されてなかった周囲の物をめちゃめちゃに吹き飛ばしながら、俺がアクリル絵の具で書き殴った召喚円に、願いを叶えるための使者が現れている!
「う、おぉぉぉお……!!」
彼女なら! 愛の化身である彼女だったら、きっと、碧さんにも届くはずなのだ……!
「時節柄、一応言わせていただきます」
俺が必死になって喚び出した英雄の魂、美しい示現体はこちらに手を差し伸べ、
「問いましょう、あなたが私のマス」
「ほぎゃああああああああァァアッッ!」
「ナ、ナイチンゲールさぁぁぁああんん!?」
突如、召喚円の向こう側からフレームインして来た物体が、中央のナイチンゲールをくの字につきとばし、愛の聖女はそのまま召喚制御のための柱に激突! 激しいスパークをまき散らしながらビリビリとフレームアウトォ……ッ!?
「ふええええっ!? ナ、ナイチンゲール消滅ぅぅぅッ!?」
「ぃやったぁぁあああああッ! ついに! ついに召喚されましたぁあ!!」
いまや中央にいるのは、さっき俺が喚び出した、ゴージャスとも言える白衣に身を包んだ聖女・ナイチンゲールとはまったくの別人。赤いど派手なタキシードバニー姿のスリム