異世界迷宮の最深部を目指そう 6
目次
1.番外戦
2.夢の始まり
3.『一ノ月連合国総合騎士団種舞踏会』決勝戦
4.朋友は三十層まで来てくれた。ゆえに、剣は持ち主に貴方を選ぶのです
5.終章
6.夢の終わり
イラスト/鵜飼沙樹
1.番外戦
『舞闘大会』準決勝が終わった。
ラスティアラチームの棄権によって、ラウラヴィア国代表の僕が決勝戦進出となった。
それはつまり、ラスティアラと共に組み立てていた計画が成功し、僕の記憶を封じていた『腕輪』が破壊されたということに他ならない。
いま僕には、異世界で生きた『ジークフリート・ヴィジター』と『アイカワ・カナミ』の両方の記憶がある。
どちらも苦い記憶ばかりで、準決勝の試合ではかなりの醜態を見せてしまった。おそらく、連合国で向こう一ヶ月は笑いものにされるに違いない。
けれど、構わない。
代わりに、僕は『本当の願い』を見つけることができた。
もう噓もなければ、人生を弄ばれることもない。そう思えば安い代償だろう。
何より心から信頼できる仲間たち――ラスティアラとディアの二人と再会できた。
準決勝の試合の後、すぐに僕は『舞闘大会』を乗り越えるための計画を話した。
とある事情があって、その計画は余りに断片的で不完全なものだったが、ラスティアラは僕を信頼して従ってくれた。
ラスティアラたちとは別行動を取り、僕は疲労困憊の身体に鞭打って闘技場から出る。
薄暗い回廊を抜け、選手の控え室に帰ってくる。
当然、そこには試合前に見送ってくれたリーパーが待っていた。
彼女は無邪気な笑顔を見せて、開口一番に祝福してくれる。
「お兄ちゃん、おめでとうっ。やっと『本当の願い』を取り戻したね」
しかし、その言葉を素直に喜べない。
頭の中で警鐘が鳴り続けている。かつての失敗の経験を思い出したことで、リーパーの祝福の裏に潜む真意を正確に感じ取れてしまう。例の『繫がり』から伝わる感情から、彼女と相容れないことがわかる。
目の前の少女が、あのパリンクロンに匹敵する難敵であると確信できてしまう。
「ああ、ありがとう。ちょっと辛い記憶だったけど、取り戻せて良かった。リーパーが手伝ってくれたおかげだ」
「ひひっ、よかった。これでお兄ちゃんは自分の