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作者:川口士,八坂ミナト
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2015-12-19(一迅社)
价格:¥594 原版
文库:一迅社文库
丛书:折れた聖剣と帝冠の剣姫(1)
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折れた聖剣と帝冠の剣姫 1 挿画:八坂ミナト 立ち絵彩色協力:雁歌 デザイン:高橋忠彦(KOMEWORKS) 大陸で用いられている距離の単位 1アルナ(約1メートル) 1ミュール(約1キロメートル) 序章 七年前  秋の陽光が窓から射しこむ薄明るい廊下を、二人の少女が中年の侍女に先導されて歩いている。少女たちの年齢はいずれも十歳前後で、可愛らしい顔だちをしていた。  ひとりは金色の髪を腰まで伸ばし、肩から鎖骨にかけて露出した、薄紅色のドレスに身を包んでいる。紫水晶の瞳は緊張に満ちて、目に映るものをことごとく値踏みするように挑戦的な輝きを放っていた。  もうひとりは黒髪を頭の後ろで結び、フリルをふんだんに使った水色のドレスをまとっている。口元には穏やかな笑みを湛えて、紅の瞳はまっすぐ前を見つめていた。忙しなくまわりに視線を走らせる金色の髪の少女とは対照的だ。 「少し落ち着きなさい、ファル。何をそんなにきょろきょろしているの」  黒髪の少女が、苦笑を浮かべて金髪の少女に話しかける。ファルと呼ばれた少女は、昼下がりの陽射しに目を細めながら、真面目な顔で黒髪の少女に答えた。 「用心するのは当たり前です、アルト姉様。ここはカーヴェル王国の王宮なのですから。私たちに危害を加えんと、間者や刺客や暗殺者が天井や壁に潜んでいてもおかしくはないのです」 「まあ、よくそんな難しい言葉を知っていますね」 「叔母上から教わりました」  素直に感心する黒髪の少女――アルトに、ファルは得意そうに胸を張る。ファルたちの前に立って歩いていた中年の侍女が、二人を振り返って優しく笑いかけた。 「アルトレイア様。ファルシェーラ様。そのようなご心配はいりません。カーヴェルは平和と友好のためにこのような機会を設けたのですから。ここにいる間は、彼らが王女様方をお守りするでしょう。僭越ながら、私めもいざというときは王女様方をお守りいたします」  侍女の言葉は、どちらかといえばファルたちを安心させるためのものだった。一国の王女たちの世話を任されているだけに、彼女も平和と友好などという言葉の空々しさは充分にわかっている。それでも、子供相手にはこれでいいと思っていた。  ファルとアルトは、パルミア王国の王女だ。ファルが十歳、アルトが十一歳である。その髪の色からファルは「黄