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作者:榊一郎
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2015-12-02(讲谈社)
价格:¥416 原版
文库:讲谈社轻小说文库
丛书:アウトブレイク·カンパニー 萌える侵略者(14)
代购:lumagic.taobao.com
アウトブレイク·カンパニー 萌える侵略者14 カラーイラスト増量版 口絵・本文イラスト/ゆーげん  台車ワゴンの車輪がカラカラと回る音が廊下に響いています。  上に載せられた料理が皿からこぼれてしまわないように気をつけつつも、私は少し早めの歩調を意識して台車を押していました。  お部屋に運ぶ際には、埃避けを兼ねて釣鐘蓋クロツシユを被せてはいますが……料理は皿に盛りつけたその瞬間から刻々と冷め始めてしまいます。急いで急ぎすぎるということはないでしょう。  以前、シンイチ様は『熱々をふうふう言いながら食べるの、美味しいよね』とおっしゃっていたので、これまでも主菜に焼き物や揚げ物がある場合には、あらかじめ皿を湯で温めておいたうえ、お出しする機を見計らうようにしてきました。 「……シンイチ様」  ほどなくして私は、目的の部屋の扉に辿り着きました。  何度も見慣れた、いえ、通い慣れたシンイチ様の──旦那様のお部屋です。  ですが私は、扉を叩く手が躊躇に震えるのを感じました。もちろん、そのまま部屋の前で迷っていても料理が冷めてしまうばかりで、何も良いことはありません。私は一つ深呼吸をしてから、扉を叩き、声を出してシンイチ様をお呼びしました。 「シンイチ様、ミュセルです。夕食をお持ちしました」  シンイチ様は扉の向こうにいらっしゃるはずです。私の声も聞こえているはずです。  部屋の中から漏れてくる音を聞き逃すまいと耳を澄ませていると、中で気配が動くのを感じました。エルフ譲りの私の耳は、シンイチ様が扉の方に歩み寄られるその足音もちゃんと聞き取ることができました。  今日こそは、お顔を見せてくださるでしょうか。  そんな微かな期待を胸に私は待ちます。  けれど── 「──あっ」  扉は開かれることなく、代わりに床との隙間からするりと一枚の紙が滑り出てきました。  私は床に膝をついてその紙片を拾い上げます。そこには短い一文がニホン語で書き記されていました。学がないので、エルダントの言葉は読み書きできない私ですが、シンイチ様に教えていただいたおかげで、ひらがなは不自由なく読むことができます。 『そこにおいといてください。おねがいします』  紙には見覚えのあるシンイチ様の筆跡で、そう書かれていました。すべてひらがななのは、私が読みやすいようにと、ご配慮くださっ