后退 返回首页
作者:るーすぼーい,白身魚
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2015-11-25(集英社)
价格:¥600 原版
文库:DashX文库
丛书:白蝶記(1)
代购:lumagic.taobao.com
白蝶記 ―どうやって獄を破り、どうすれば君が笑うのか― この本は縦書きでレイアウトされています。 ダッシュエックス文庫DIGITAL 白蝶記 ―どうやって獄を破り、どうすれば君が笑うのか― るーすぼーい CONTENTS 兄の日記 一章――三人 二章――二人 三章――一人 四章――変身  弟へ  お前とこの交換日記のようなやりとりを続けてもうどれくらいになるだろうか。  いま、例の仕置き小屋からこれを書いている。  お前も何度も入れられている、凍える隙間風が入りこむ木造の独房だよ。  暗い部屋で、備え付けの便器の異臭だけを嗅いで過ごす夜はたまらないよな。もっともハエのわく夏場よりはましだけれど。貧相な毛布にくるまって、死なないように朝を待てばいい。眠くなったら気をしっかり持って、腹に力を込めるんだ。腹さえ温めておけば、寒さで手がかじかんでも、歯がガチガチ鳴り出してもどうにかなる。  でも、お前には二度とこんな思いはさせない。  くそったれの教団の連中が懲罰房だの、指導部屋だのと呼んでいるこの小屋は、ドアを通らずに、脱出できるとわかった。  もし、またお前がここに入れられたら、ベッドの下を見てみるといい。床板が外れるから。その先の地面はぽっかりとえぐられていて驚くだろう。ちょっとした短いトンネルになっているんだ。  おれが開通させたわけじゃない。先人が、きっと食器や手を使って、命がけで土を掘り返したんだ。兄ちゃんは床板の不自然な切り跡に気づいただけだ。  でも穴を這って進んでみて、脱出は断念せざるを得なかった。  なぜならば、トンネルは先に進むにつれて狭くなっていたからだ。下に降りて二メートルほど進んだ先で、穴はおそらく独房の裏手に昔からあった枯れ井戸に出る。トンネルの横穴と井戸の縦穴がぶつかる形になるわけだけれども、井戸の壁として使われている岩の隙間をどうしても抜けることができなかった。  トンネルを掘った先人はきっと、お前と一緒で、子供だったのだろう。兄ちゃんの体格では井戸に差し込む月明かりを拝むのがやっとだった。  お前ならきっと逃げ出せるはずだ。  井戸には隙間から伸ばした手が届くところまで雪が積もっていたから、底に落ちる心配もいらない。むしろ、地上へと這い登るときの足場になってくれるだろう。とにかくあの岩と岩の隙間さえくぐり抜けられれば、あとはお前の自由だ。知っての