君から受け継ぐ英雄系譜
目次
序章 まだその約束は不本意で
第一章 雪銀雪姫/世界最強の少女
第二章 決闘の行方
幕 間 運命が相剋したあの夜も
第三章 終焉の足音
幕 間 殺戮の果てに
第四章 開戦
幕 間 傷だらけの軌跡
第五章 決戦、想いを刻みつけて
終章 その先もずっと
イラスト/とよた瑣織
「私が勝ったら、一緒に世界を守ってもらうわよ」
蒼玉サフアイアのような深い青色の瞳がこちらを見据えている。
処女雪のように真っ白で曇りのない肌。背中どころか腰を越えて、太もものあたりまでさらりと伸びる長髪は瞳と同じく青色で、白いリボンで一纏めにされ、風に靡いていた。
彼女の名は、雪銀雪姫。
「ああ、お前が勝ったらな」
「勝てるつもりかしら、この世界で最強の私に」
「お前がなんだろうと、勝たなきゃならねえならな」
「そこまで嫌かしら、世界を守るのは」
「まあな、ガラじゃねえ」
「……それだけじゃ、ないのでしょう?」
彼女――ユキヒメが、どこか憂いを帯びた声で言う。
察しがついているのだろう、俺の真意に。
「わかってる上で言うことを聞かせたいからこその、この勝負なんだろ?」
「……ええ、そうね。私がこの世界を守るという使命を持つように、アナタにも成すべきことがあるのはわかってる――それでも、アナタに共に戦って欲しいと私は思うわ」
俺――黒乃刻哉の成すべきこと。
それは、俺に残されたたった一人の家族である妹を守ること。
それともう一つ、父さんと母さんの仇に復讐することだ。
そのためには、強くならなくてはいけない。誰よりも強く、それこそ彼女――ユキヒメを倒してこの世界で最強になるくらいに。
世界を守ることになんて興味はないし、復讐のために生きている俺にそんなことを志す資格もない。
だが、口で断ってすんなり引くヤツじゃない。ならば、戦うしかないのだろう。
戦って、そして。
……俺は、負けた。
「さぁ――約束通り、私と一緒に世界を守ってもらうわよ」
「しょうがねえな、約束だもんな……世界でもなんでも守ってやるよ」
俺がそう口にするとユキヒメが満足そうに笑った。
その笑顔を見ていると、少し胸が痛んだ。俺が背負っているも