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作者:北山結莉,Riv
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2015-12-02(Hobby Japan)
价格:¥559 原版
文库:HJ文库
丛书:精霊幻想記(2)
代购:lumagic.taobao.com
精霊幻想記 2.精霊の祝福 目次 序章 遠藤涼音 第一章 旅立ち、そして隣国へ 第二章 暗殺者の少女 幕間 ラティーファの追憶 第三章 ふれあい 第四章 エンカウント 第五章 誤解 第六章 里での暮らし 第七章 招かれざる客 第八章 絆 終章 あとがき 序章 遠藤涼音  それは土砂降りの雨が降り注ぐ日のことだった。 「ふぇ、ひっく……。ぐす……」  時刻が夕方に突入する少し前。  当時、まだ小学三年生だった私は、下校中にバスの中で泣いていた。  小学校から自宅までは遠い。だから、普段は電車通学をしている。ただ、こうして強い雨が降った日には、バスで通学することもよくあった。  けど、この日は少しばかりいつもと毛色が異なっていて。  運動会の練習で張り切っていた私は、バスに揺られたわずかな時間で、つい眠りに落ちてしまったのだ。目を覚ますと、まったく見知らぬ景色が視界に映っていた。  小学生だった私が自由に使えるお金を持つわけにはいかず、所持金は必要最低限だけ。  私が瞬く間にパニックに陥り、泣き出してしまったのは当然のことだった。そんな私を見かねたのか、大学生くらいのお兄さんが優しく声をかけてくれる。 「どうしたの?」 「ふぇ……?」  私はびくりと身体を震わせ、お兄さんを見上げた。すごく格好いい人だと思った。  すると、お兄さんは私を安心させるように、穏やかな笑みを浮かべた。 「乗るバス間違えちゃった?」 「え、あ……乗り過ごし……です」 「ああ、なるほど。本当はどこで降りなきゃいけなかったのかな?」  少し呆気にとられて私が答えると、お兄さんは納得した様子でさらに訊いてきた。 「さ、三丁目の公園……です」 「わかった。じゃあ、次の駅で降りようか。最寄りの駅まで連れて行ってあげるから」 「……は、はい」  本当はお家でも、小学校でも、知らない人に付いていったらいけないと教えられていたけど、私は心の中でお兄さんを頼っちゃダメだと少しも思っていなかった。  だって、お兄さんは流行りの少女漫画に出てくる登場人物みたいで、私はまるで自分が主人公にでもなったような気がして、すごく舞い上がってしまったから。でも――、 「あ、お金足りないかも、です……」