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作者:瀬尾つかさ,美弥月いつか
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2014-08-20(一迅社)
价格:¥594 原版
文库:一迅社文库
丛书:銀閃の戦乙女と封門の姫(7)
代购:lumagic.taobao.com
深き迷宮と蒼の勇者 -銀閃の戦乙女と封門の姫外伝- 挿画:美弥月いつか 挿画仕上げ協力:八坂ミナト キャラクター原案:CH@R デザイン:木緒なち(KOMEWORKS) 高橋忠彦(KOMEWORKS) 『放課後ランダムダンジョン』 初刊 二〇一〇年一一月  一迅社文庫 本書は右記『放課後ランダムダンジョン』を改題し、加筆修正したものです。 巻末に収録した短編小説は、本書のための書き下ろしです。 序章  四月のはじめ。関東地方は、少し遅い桜前線まっただなかだった。横浜の北東部であるこのあたりは、特に桜の木が多い。強い風が吹くと、桃色の花びらが視界一面を覆いつくすほどだ。 「この道、掃除が大変だろうなあ」  和馬は、そんなどうでもいいことを考えた。駅から少し離れた、桜並木が立ち並ぶ道である。平日の夕刻に近いこの時間、二車線の道では、車の姿もまばらだった。  舞い散る桜が、とてもきれいだ。 「そういえば、桜の樹の下には屍体が埋まっている、って小説の一節があったっけ」  国語の授業で習った気がする。  ところで、と現実逃避をやめ、桜の樹の根もとに視線を下ろす。 「この子は、屍体なんだろうか」  樹の根もとに、制服を着た少女が倒れていた。青い髪が太ももあたりまで伸びている、小柄な少女だ。顔から地面につっぷして、ぴくりとも動かなかった。黒いカチューシャについたふたつのリボンが、まるで猫耳のようである。  いや、いま、肩口が少し動いたから……か? 「生きてる?」  和馬は、おそるおそる近寄った。平和な日本で、こんなよくわからない状況にでくわすとは。  と、少女が呻き声をあげた。まぶたを持ち上げる。 「えーと、きみ、だいじょうぶ……? どこか怪我、してる?」  返事のかわりに、少女のおなかが、ぐうと鳴った。 「おなか、すいた」  少女が顔をあげる。どこかぼうっとした表情の、童顔の少女だった。 「えーと……きみは……」  答えのかわりに、また少女のお腹が自己主張した。和馬は、少し考えた末、鞄から取り出した紙包みを開ける。饅頭が六つ。道すがら、おみやげとして買ったものなのだけれど……。 「食べる?」 「おまんじゅっ」  少女は、かぶりつくようにして包みのなかを覗き込み、ごくん、と喉を鳴らした。