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作者:川口士
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2014-01-18(一迅社)
价格:¥594 原版
文库:一迅社文库
丛书:千の魔剣と盾の乙女(12)
代购:lumagic.taobao.com
千の魔剣と盾の乙女 12 挿画:アシオ デザイン:木緒なち(KOMEWORKS) 高橋忠彦(KOMEWORKS) 序  春も深くなり、大陸のまわりをめぐる諸都市にはあたたかな陽光が降り注ぎ、色とりどりの花が咲き乱れている。  だが、大陸の中央にある朽ち果てた城の周辺だけは、季節から切り離されてしまったかのようだった。天も地も暗く、冷たく、すさんでいる。  空はいくつも折り重なる暗灰色の雲に覆われ、朝の太陽を完全に隠していた。それにもかかわらず空気は乾いており、雨の気配はまるで感じられない。  廃城のそばではけたたましい叫びが響きわたり、阿鼻叫喚が渦を巻いている。  廃城と、海へ通じる大河の間に広がる荒野。人間たちと魔物たちが、そこで凄惨な戦いを繰り広げているのだ。  人間たちの数が百にも満たないのに対し、魔物たちは数千にも達するだろう。人間たちを打ち殺し、貪り食わんと北から南から雲霞のごとく押し寄せている。  魔物の姿はさまざまだ。鰐が二本の脚で立って歩いているようなグレンデルという魔物がいる。首のない騎士が、同じく首のない馬を駆るデュラハンと呼ばれる魔物がいる。人間の倍以上の長身と、圧倒されるようなたくましい体躯を持つ魔物スプリガンがいる。  他にも瘴気を浴びて魔物と化した大蛙や大猿、狼などもいる。もっとも弱い魔物でさえ、並の戦士では歯が立たない。一撃を見舞う前に葬り去られるだろう。  しかし、ここにいる者たちは並の戦士などではない。誰もが命がけの戦いを幾度もくぐり抜けてきた強者だ。  クレイヴもそのひとりだった。年齢は十九。中肉中背で、服の上に白銀の胸当てをつけている。一振りの剣を両手で握りしめて、彼は襲いくる魔物たちを必死に打ち倒していた。  一匹のグレンデルが、クレイヴに迫る。魔物の両手には長柄の斧が握られていた。  風が唸る。金属的な響きが周囲の狂騒に混じった。魔物の振りおろした斧を、若者の持つ剣は音高く弾き返したのだ。 「――出でよ、炎!」  同時に、クレイヴの持つ剣から紅蓮の炎が放たれる。不意をつかれたグレンデルの両腕と長い顎が炎に包まれた。魔物はたじろぎ、悲鳴を発して後ずさる。  その動きをクレイヴは見逃さなかった。おもいきって前へと踏みこみ、無防備な魔物の横腹を鋭く斬り裂く。  鈍い手応えを感じ