さすがです勇者さま!
口絵・本文イラスト/茉宮祈芹
デザイン/AFTERGLOW
編集/庄司智
第9章
「どうした勇者! その程度か!」
戦況は一方的だった。
魔王vs勇者の戦い。
魔王の指示によって魔王軍が勇者──つまりは俺の仲間たちを一人一人確実に血祭りにあげていく。
「ふん。きみにはがっかりだ。もう少し強いと思っていたのに」
銀色のストレートヘアの少女が悲しいくらいに凹凸がない胸を自慢げに張った。
コイツの名前はシルヴィ。
魔王だ。
だが、見た目はちっちゃくて可愛い女の子にしか見えない。いとも簡単に中学生料金で映画館に入れそうな感じ。もっともそのことを指摘すれば「ボクは十六歳できみと同い年だ!」ってぷんすか怒るだろうけどさ。
それに、この世界に映画館なんてシャレたもんはねえのである。