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作者:手島史詞,八坂ミナト
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2014-09-20(一迅社)
价格:¥594 原版
文库:一迅社文库
丛书:赫竜王の盟約騎士(2)
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赫竜王の盟約騎士 2 挿画:八坂ミナト デザイン:木緒なち(KOMEWORKS) 高橋忠彦(KOMEWORKS) 序章  誰もが唖然としていた。  竜を迎撃しようと身構えた初等生の小隊も、彼らの救援に野営から飛び出した生徒たちも、ジルと同じ小隊のフルフルも、長らくジルと行動を共にしてきた咲夜でさえも。  それは赫い光だった。  馬車を跨げるほどの巨体――全長十二、三プロペはあろうかという成竜が、そんな光で頭蓋から尾までを撃ち抜かれたのだ。 「な、なんで……? なにが起こったの?」  そして、それをやってのけた少女はというと、自分のしたことを理解できていないらしく尻もちをついたまま素っ頓狂な声を上げていた。  竜を一撃で屠ったのは、ティナ・ヴァレリーだった。  ジルは険しく目を細める。 ――赫い、魔力……。  その魔力の色を、ジルは知っている。  ほかならぬ、ジルが振るう竜剣は赫い魔力を放つのだ。  これを扱える人間を、ジルは自分以外にひとりしか知らない。 「ジ、ジル……?」  ティナが困惑した声を漏らす。  いつの間にか、ジルはティナのそばに立っていた。無自覚のうちに駆け寄っていたらしいのだが、その自分がよほど冷たい目をしているらしいことは自覚していた。  意識して、ジルは柔らかい笑みを浮かべる。 「そうか。剣聖さまが仕留め損ねた老竜にとどめを刺したのは君だったな、ティナ。老竜を喰ったことで、君の竜剣は討伐数以上の力を得てしまったんだ」  半月前、六剣聖の一角カスパル・ヴァル・アルキミアが老竜との戦闘で命を落とした。  表向きはそうなっているが、カスパルを斬ったのはジルだ。事実とはずいぶん異なる言葉を、まるで今気づいたかのように彼は言った。  さして大きな声ではなかったが、静まり返ったこの場所では鋭く響いた。  他の生徒たちにも、その言葉は届いただろう。やがて生徒たちの間にも納得したような囁きが広がっていく。  それから、声を落としてティナの耳元に顔を近づける。 (この場は話を合わせろ。いいな?)  コクコクと頷くティナが握る剣は、白い。  竜星石を嵌め込んだ剣――竜剣はその刃も魔力も白く染まる。  にも拘わらず。ティナの魔力は一瞬のことではあるが、赫く染まっていた。