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作者:割内タリサ,鵜飼沙樹
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2015-10-25(overlap)
价格:¥720 原版
文库:overlap文库
丛书:異世界迷宮の最深部を目指そう(5)
代购:lumagic.taobao.com
異世界迷宮の最深部を目指そう 5 目次 1.そして、始まる 2.『一ノ月連合国総合騎士団種舞踏会』 3.『一ノ月連合国総合騎士団種舞踏会』三日目 4.ラスティアラ・フーズヤーズの戦い イラスト/鵜飼沙樹 1.そして、始まる  城の外は、内の喧騒とは正反対に静まり返っていた。  僕たちが休ませて貰っている城のバルコニーも同様で、冷たい風の吹く音しか聞こえてこない。その風に当たり過ぎてしまったせいか、僕は少し身震いをしてしまう。そして、そのバルコニーに設置された長椅子に向かって、ちらりと目を向ける。  そこには貴族の男女――『兄妹』がいた。  涼しげな青い髪に桜色の瞳の少女がスノウ・ウォーカー。赤銅色の髪に茶色い瞳の青年がグレン・ウォーカー。見た目は正反対だが、確かに二人は『兄妹』だ。  項垂れて椅子に座るスノウの背中をグレンさんが謝りながらさすり続けている。その光景は僕の知っている『兄妹』に他ならない。  いま僕もグレンさんと同じように、スノウのためにできることはないかと考えているところだ。当然だが、先の唐突過ぎる求婚に応えることはできない。一番楽だからなんて理由で結婚するのはおかしいというのもあるが、裏にパリンクロンの策略を感じるのだ。  間違いなく、パリンクロンは僕とスノウをくっつけようとしている。いまのスノウの豹変から、それは間違いない。  ただ……だからと言って、このままスノウを拒否し続けていいとも思えない。  ――二度と選択を間違えたくはない。  そう、先ほど僕は思った。『失敗』しないとも誓った。  だからと言って、そう簡単にスノウのためにできることなんて見つけられはしない。慰めるにしても『噓』だけは絶対に駄目だ。それでは誰も幸せにはなれない。  もっと別の方法を僕は探さないといけない――と必死に考え込んでいると、座り込んでいたスノウが急に立ち上がった。  少しよろめきながらも僕の方に近づいてきて、申し訳なさそうに声を出す。 「……変なこと言ってごめん、カナミ。……もう落ち着いたから、大丈夫」  いつもの様子で謝った。  先ほどの興奮状態のスノウでもなければ、独り言を続けるスノウでもない。 「いや、気にしないでいい。ずっと婚約のことで思いつめていたんだろ? なら、ちょっとくらい取り乱しても仕方がない