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作者:十文字青,白井鋭利
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2015-10-25(overlap)
价格:¥650 原版
文库:overlap文库
丛书:灰と幻想のグリムガル(6)
代购:lumagic.taobao.com
灰と幻想のグリムガル level.6 とるにたらない栄光に向かって イラスト/白井鋭利 「はっ……ふっ……はっ……はっ……」  ハルヒロは駆ける。息を弾ませて疾駆する。  ちらりと振り返った。――いた。  いる。いる。いる。追いかけてくる。  やつらは目のところに穴があいた白い大きな布を被っている。まあ、丈の長いポンチョのようなものだ。胴体があって、頭があり、腕と脚が二本ずつある。体型は人間にとてもよく似ている、と言ってもいいだろう。ただ、穴からのぞく目は一つしかない。  やつ、じゃない。あくまで、やつら、だ。  わざわざ数えるまでもない。人数は把握している。六人だ。槍を持ったやつが五人で、剣と盾を携えているやつが一人。槍は柄が白い以外は何の変哲もない槍だが、剣はやや紫色っぽい光沢を帯びていて、盾はまるで鏡のようだ。剣は故あって雷剣ドルフィン、盾はその見た目からミラーシールドと称されている。  誰が呼んだか――いや、誰が、というか、最初に呼びはじめたのは彼らなのだが――教団員。槍持ちは一般教団員、略してパンキョーまたはパン助、剣持ちはエリート教団員、略してエリ教またはトリさん。そんな呼び名が定着している。 「くっそ、だるっ……」  ぼやきながらも、ハルヒロは足を緩めないで走る。全力疾走しつづけないと、パン助たちとトリさんに追いつかれてしまう。もしそうなったら、ハルヒロはしがない盗賊だ。袋叩きにされて、ほぼ確実に瞬殺される。だから、逃げないと。  逃げろ。今はとにかく逃げるのだ。しゃにむに逃げろ。逃げるしかない。  濃い青と、わずかに赤みがかった青、紫、橙色、黄色や赤、それらの中間色がちりばめられた空の下、白い街並みをひたすら駆け抜けろ。――街。  そう。ここは街か、少なくともそれに類するものだった。白い石で舗装された道の両側には、やはり白い石造りの箱みたいな建物が並んでいる。どれほどの偶然が奇跡的に重なったとしても、こんなものが自然にできあがることはない。明らかに誰かが、知性と意思を持つ何ものかが、造ったのだ。 「――ああ、もう……!」  汗が右目に入って沁みた。また振り向きたい衝動に駆られたが、我慢だ。余計なことをしないで、走れ。片目をつぶったまま、走れ。 「はっ……はぁっ……はっ……はっ、はっ……!」  あの角だ。曲がれ。  飛びこむように左折して、少