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作者:松田朱夏,鈴木央
类型:少年向 日文
出版:2015-10-16(讲谈社)
价格:¥594 原版
文库:讲谈社轻小说文库

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小説 七つの大罪 ―外伝― 彼らが残した七つの傷跡 (KCデラックス)  明るい満月が、湖面を静かに照らしていた。  湖には小さな島が浮かんでいる。その上には、切り立った崖に乗り出すように、古い城が建っていた。  こぢんまりとした城館とふたつの塔からなるその城の、いくつかの窓からは灯りがもれている。  かすかに笑い声も聞こえ、夜半を過ぎてもなお、住人たちは寝静まってはいないようだ。  館と一の塔をつなぐ城壁の上にも、ひとつの人影がたたずんでいる。  ひょろりとした体軀のその男は、まったくサイズの合っていないぶかぶかの服を着込んでいた。やや面長の顔立ちはそれなりに整っていたが、猫背気味の姿勢と自信のなさそうな表情が、それをだいなしにしている。 『はぁ……』  男は、城壁のへりにもたれかかりながら、ため息をついた。  彼の視線は、さっきからずっと、右側に建つ一の塔へと向けられている。  塔の最上階の窓には灯りがゆらめいていた。男はその光を見つめていたが、やがて目をそらすと、またため息をひとつ。  城壁から見下ろせば、対岸に広がる砂浜が、月明かりにしらじらと浮かび上がって見えた。 『〝月に浮かぶ砂浜は、君の白い腕のよう。昏い波に見えつ隠れつ、真理を指し示す〟……』  謎めいた言葉を呟いて、ふっ、と自嘲の笑いをもらす。 『僕なんかがどんなに言葉を探しても、彼女の美しさと優しさと知性を表すことなど出来ないのかもしれない──』  もう一度、彼は一の塔を見上げる。 『それでも、僕は伝えたいんです……マーリンさん』 1  ブリタニア一の強国と謳われる、リオネス王国。  外敵の侵入を防ぐ市壁に囲まれたその王都は、まばゆい朝日に照らされていた。  六月の夜は短く、夜明けは早い。人々の多くはまだ眠っている。  王都を見下ろすリオネス王城においても、貴人たちの寝室はみな静まり返っていた。  国王の第一王女、もうすぐ十五歳になるマーガレット姫も、絹とレースに包まれてベッドに横たわっている。  だが──その美しい顔は、今、苦しげに歪んでいた。  白い手が上掛けを握りしめ、唇が震えた。悲鳴の形に開かれた口は、けれども声を立てることなく、再びぎゅっと引き結ばれる。  まるで、何かを耐えるように。  マーガレットの見ている夢。  それは、二年前の夢だ。あの恐ろしい朝の夢だ。  王都のはずれの古城の一室。血みどろの男の