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作者:櫻木れが,オード
类型:少年向 书籍样本 日文
出版:2015-07-18(一迅社)
价格:¥540 原版
文库:一迅社文库

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妄想少女は魔法を使えない 挿画:オード デザイン:ナカムラナナフシ (ムシカゴグラフィクス) ◆四月二十四日(金) 午後五時過ぎ  世界にはまだ見ぬ何かが眠っている。  親父はその何かを求めて母親を引き連れ、俺を置き去りにして冒険三昧だ。たまに連絡してきたかと思ったら、 『母さんに密輸団から奪った財宝の換金を頼んでな。帰り道の途中でいろいろあって女の子を保護したんだ。いいか? お前を訪ねてその子がやってくるだろう。助けてやれ』  一方的にわけのわからないことを言う。 『いい男っていうのは、女を助けるものだ』  とか言っていきなり電話が切れたし。なんだかなあ。  俺の居場所は親父と違ってありきたりだ。  私立華陵学園高等部、一年F組の教室内。放課後。クラスメイトがそこかしこにいる。みんなただの学生だ。もちろん俺もそう。  白状すれば、ありきたりじゃない親父にどこかで憧れている。 『信じるなら、貫き通せ。笑われても、バカにされてもだ。それが男の生き様ってもんだ』  トレジャーハンターという怪しい職業を生業にしている親父の言葉だ。幼い頃の俺は「ああたしかに、それが出来たらかっこいいよな」って思った。  方向性を間違えている気はしつつ、今日も俺は右手に包帯を巻いて、分厚い黒の革表紙のノートに妄想を描いていた。 「雛河くん、絵上手いね」  顔も名前も覚えのない女子が声をかけてきた。  どう反応すればいいのかわからなくて、困る。何せ話したことがない。 「……えっと」 「おーい! 早く行こうぜ」  廊下から別のクラスメイトの声が聞こえてきた。 「ねっ、雛河くんもカラオケ行かない? 部活してない子たちみんなで行くんだけど」  女子が目を輝かせて俺を見てきた。お世辞抜きに可愛い子だった。 「……ごめん、俺はいいや」 「えーっ」  残念そうな顔をした女子のカバンを男子が引っ張っていく。クラスメイトたちもぞろぞろと教室を出ていった。 「見るからに中二病だろ、声かけるなよ。アニソンしか歌わねえぜきっと」  聞こえてるっての。  まあ俺が中二病患者だと思われていることくらい、自覚している。包帯巻いてるし。  ぼっちでいたいというわけじゃない。ただ、率先して輪に入りたいと思わないだけだ。  長い間そうだったし、今更それは変えられそうにない。  現に高校生活